



烏に単は似合わない 八咫烏シリーズ1
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4.0 • 37件の評価
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- ¥770
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発行者による作品情報
※2020年8月8日より、カバーが変更となりました。内容については変更ございませんので、ご注意くださいませ。
松本清張賞を最年少で受賞、そのスケール感と異世界を綿密に組み上げる想像力で選考委員を驚かせた期待のデビュー作は、壮大な時代設定に支えられた時代ファンタジー!
人間の代わりに「八咫烏」の一族が支配する世界「山内」では、世継ぎである若宮の后選びが今まさに始まろうとしていた。朝廷での権力争いに激しくしのぎを削る四家の大貴族から差し遣わされた四人の姫君。春夏秋冬を司るかのようにそれぞれの魅力を誇る四人は、世継ぎの座を巡る陰謀から若君への恋心まで様々な思惑を胸に后の座を競い合うが、肝心の若宮が一向に現れないまま、次々と事件が起こる。侍女の失踪、謎の手紙、後宮への侵入者……。峻嶮な岩山に贅を尽くして建てられた館、馬ならぬ大烏に曳かれて車は空を飛び、四季折々の花鳥風月よりなお美しい衣裳をまとう。そんな美しく華やかな宮廷生活の水面下で若宮の来訪を妨害し、后選びの行方を不穏なものにしようと企んでいるのは果たして四人の姫君のうち誰なのか?若宮に選ばれるのはいったい誰なのか?あふれだすイマジネーションと意外な結末――驚嘆必至の大型新人登場!
解説・東えりか
APPLE BOOKSのレビュー
平安時代風の異世界を舞台にしたライトノベルのイメージから、宮廷ロマンス的な展開かと思いきや、徐々に権謀術数が渦巻く大河ドラマへと変貌していく本格ミステリー。舞台となる「山内」は、皇帝と四大貴族を頂点とする、人の形をした八咫烏が支配する世界。乾石智子や荻原規子といったファンタジー作品の先駆者の影響を受けながらも、日本の風土と歴史に基づいた非常に独創的な世界観を持っており、優雅な情景描写がより臨場感を際立たせる。さらに、作品の中で創造された世界はあくまでも舞台装置に過ぎず、主軸となるのはそこに生きる人々(烏)のドラマであるという点で物語としても秀逸。この成熟したエンターテインメントが、当時若干20歳の作家によって生み出されたことにも驚かされる。和風ファンタジージャンルに新風を吹き込み、コミック化もされるなど人気シリーズへと成長した傑作の原点。予想は裏切っても期待は裏切らない、硬派なミステリーファンにこそおすすめしたい作品。