荒城に白百合ありて 荒城に白百合ありて

荒城に白百合あり‪て‬

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発行者による作品情報

森名幸子から見て、母の鏡子は完璧な会津婦人だった。江戸で生まれ育った母は教養高く、武芸にも秀でており、幸子の誇りで憧れだった。

薩長軍が城下に迫り、白装束を差し出して幸子に自害を迫った時も、母の仮面が崩れる事はなかった。

しかし、自害の直前に老僕が差し出した一通の手紙が、母の、そして幸子の運命を大きく変えた。

手紙から視線を外し、再び幸子を見た母は、いつもの母とは違うものに変わってしまっていた。その視線を見て、幸子は悟った。

――母は、この美しい人は、いまこの瞬間、はじめて私を「見た」のだ、と。



薩摩藩士の青年・岡元伊織は昌平坂学問所で学ぶ俊才であったが、攘夷に沸く学友のように新たな世への期待を抱ききれずにいた。

そんな中、伊織は安政の大地震の際に燃え盛る江戸の町でひとりさ迷い歩く、美しい少女と出会う。あやかしのような彼女は聞いた。

「このくには、終わるの?」と。伊織は悟った。「彼女は自分と同じこの世に馴染めぬいきものである」と。

それが、伊織の運命を揺るがす青垣鏡子という女との出会いであった。魂から惹かれあう二人だが、幕末という「世界の終わり」は着実に近づいていて――。



この世界で、ともに生きられない。だから、あなたとここで死にたい。

稀代のストーリーテラーが放つ、幕末悲劇、いま開幕。

ジャンル
小説/文学
発売日
2022年
11月22日
言語
JA
日本語
ページ数
352
ページ
発行者
KADOKAWA
販売元
DWANGO Co., Ltd.
サイズ
2.7
MB
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