鉄路の果てに
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3.2 • 5件の評価
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発行者による作品情報
「だまされた」
父が遺したメモを手掛かりに、
気鋭のジャーナリストが戦争を辿る。
いつの時代も、国は非情だ。
本棚で見つけた亡き父の「だまされた」というメモ書き。
添えられた地図には、75年前の戦争で父が辿った足跡が記されていた。
どんな思いで戦地に赴き抑留されたか。
なぜ、犠牲にならねばならなかったか。
薄れゆく事実に迫るために、韓国・中国・ロシアへ。
国は過ちを
繰り返してきた。
何度も。
これからも。
目次
序章 赤い導線
1章 38度線の白昼夢
2章 ここはお国を何百里
3章 悲劇の大地
4章 ボストーク号
5章 中露国境
6章 シベリア鉄道の夜
7章 抑留の地
8章 黒パンの味
9章 バイカル湖の伝説
終章 鉄路の果てに
APPLE BOOKSのレビュー
『桶川ストーカー殺人事件―遺言―』『殺人犯はそこにいる』などのノンフィクションで知られる著者が盟友である作家、青木俊と共に、亡父が戦時下でたどった朝鮮、満州、シベリアの鉄路の旅を追体験する鉄道紀行。父の本棚で見つけた『シベリアの悪夢』という本。そこには、軍隊生活の記録と共に“だまされた”という言葉が書かれたメモと、表紙裏の地図には父がたどった動線が赤いサインペンで書き残されていた。陸軍に召集され、日中戦争に送り込まれ、敗戦時に捕虜となってシベリアに抑留された父は何を言いたかったのか? 父が遺した足跡を追う旅が始まる。同行者の“青木センセイ”との珍道中ぶりを描いた純粋な旅行記としても楽しませるが、中国とロシアの線路幅の違いやバイカル湖の迂回線など、鉄道に関するうんちくも多い。戦争とは切っても切れない関係性を持つ鉄道を通して、日清・日露戦争からシベリア出兵、関東軍による満州事変とソ連軍の満州侵攻、戦後のシベリア抑留、あるいはアウシュビッツや731部隊までをも解き明かし、確かな筆力を持って日本の近代史を振り返る好著。