鏡の中のガラスの船
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3.3 • 6件の評価
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- ¥300
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発行者による作品情報
青春の彷徨をみずみずしい感性で描く山川健一のデビュー作。レッド・ツェッペリン、闘い、リンチ殺人事件、ジャズ喫茶、バスケット・シューズ、コーラ・ブラウンのストッキング、遊園地……。危機の予感のなかで語られる。失われた70年代への鮮烈なレクイエム。第20回「群像」新人賞優秀作受賞。
APPLE BOOKSのレビュー
ロックミュージシャンとしても活躍する作家、山川健一の初期の代表作「鏡の中のガラスの船」。本作の舞台となるのは、1970年前後、三島由紀夫の自決事件やあさま山荘事件が世間を騒がせた頃。大学紛争がますます激化する中、主人公の "僕" はいつしか大学に通うことをやめ、息苦しい日々を遊園地で読書しながら生きている。"僕" は「何をしても無駄なのではないか」とつぶやきながらも、生き残る術を探し、自分は何者なのかと考え続ける。何かに囚われて突破口が見つけられない青春時代の鬱屈を存分に描きつつ、暴力的で陰鬱な時代の様相を見事に切り取った1作。