閨と厨
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3.5 • 2件の評価
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- ¥1,700
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発行者による作品情報
ツイッターの人気アカウント「きょうの140字ごはん」の持ち主による、初の書き下ろしエッセイ集。著者の料理に宿る美意識と思想は日常の1コマにも確かに通じている。妻として、母として、働く女として、あるいは娘として…。女は皆、いろんな顔を使い分けながら日々をサバイブしている。「ふつうの戦士」どうしで心をほぐし合えたら。いたわり合い、励まし合い、明日を闘うための打ち明け話20篇。
APPLE BOOKSのレビュー
ファッション雑誌の編集者からエッセイスト、料理家に転身した寿木けいによる、初のエッセイ集『閨と厨』。食や女性の生き方に関する思いをSNSやさまざまな媒体で伝えてきた筆者。10のタイトルを夜と朝の視点で書き分け、思春期からコロナ禍に巻き込まれ始めた2020年3月までの激動の時を20編のエッセイとして明かす。故郷に暮らす少々複雑な家族、大学に入学して始まった東京での1人暮らし、仕事、結婚、出産、ままならない育児。凜(りん)とした美意識で注目を集めたSNSの投稿や、ミニマムなのに観察力に満ちた文章からは見えなかった、彼女の半生が読者に生々しく迫る。若き日の失敗は今の自分を築くために必要だったと、さらりと打ち明けているようで、心に深く刺さる。書くことで自分自身を確認するような素直な告白が、心にさざなみを起こす。タイトルの閨(ねや)とは夫婦の寝室や女性の居室といった意味。厨(くりや)とは料理をこしらえる場所、台所のこと。妻、母、娘、料理家、エッセイストの顔を外して自分に戻るさまが、切なくも愛おしく感じられる。