邪悪なる大蛇
-
-
4.5 • 2件の評価
-
-
- ¥3,200
-
- ¥3,200
発行者による作品情報
『その女アレックス』の巨匠、最後のミステリー
意地悪に、ブラックに、酷薄に、
最・悪・の・事・態が加速する!
『その女アレックス』『悲しみのイレーヌ』『死のドレスを花婿に』……
ミステリーランキングを制覇し、フランス最大の文学賞ゴンクール賞も獲得。
鬼才ルメートル、最後のミステリー。
夫を亡くして独りで暮らすマティルド、63歳。殺し屋。戦争中は冷血の闘士として知られ、戦後は凄腕の殺し屋として仕事を請けてきた。だが彼女には認知症が少しずつ忍び寄りつつあった。それに気づいたのは、彼女に殺しを依頼している戦中からの同志アンリ。マティルドの殺しが必要以上に過激になっていたのだ。一方マティルドの中では、かつて抱いていたアンリへの恋心が甦り、暴走は加速してゆく!最悪の事態が雪ダルマ式にふくれあがる!マティルドを愛していたアンリは、そして事件を追う真面目な刑事ヴァシリエフは、彼女を止められるのか?
アタマからラストまで、ひたすら加速する「最悪と意地悪のスパイラル」。その果てに待つラストのサプライズは、笑ってしまいそうに衝撃的で電撃的で残酷で、まるで私たちの運命のようなのだ。
「多くの読者は気に入った登場人物がひどい目に遭うことに抵抗を感じる。だが現実の人生はどうだろうか。恋人が突然心筋梗塞で命を落としたり、友人が脳卒中で倒れたり、近親者が交通事故に遭ったりと、理不尽なことが次々起こる。なぜ小説家は現実の人生よりも手加減しなければならないのだろうか?」――ピエール・ルメートル
APPLE BOOKSのレビュー
『その女アレックス』で世界中のミステリーファンの度肝を抜いたピエール・ルメートル。近年は歴史小説の分野で活躍している彼が、久々に犯罪小説を上梓したことで注目された作品。といっても、こちらは1985年に書かれていながら発表されず、ずっと引き出しに埋もれていたという。その辺りの事情は序文でルメートル自身が語っているが、いずれにせよ本作はルメートルが手掛けた最初の犯罪小説であり、最後に出す犯罪小説となる。主人公のマティルドは、戦時中は美貌と冷酷さで知られるレジスタンスの闘士だった。かつての上司だったアンリの指示の下、すご腕の殺し屋として名をはせるが、認知症の症状によってありもしない任務を遂行し、ついに罪のない人を殺害してしまう。ルメートルの真骨頂である大どんでん返しこそないものの、認知症によって徐々に記憶がむしばまれていくマティルドの異常な言動と破壊衝動が、物語の展開をぐいぐいと加速させる。クエンティン・タランティーノ監督の映画作品にも通じる乾いたユーモアとバイオレンスがさく裂するノワールアクションといった趣で、映像的でスピード感のある犯罪サスペンスに仕上がっている。