正訳聊斎志異 第1巻
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Publisher Description
*第2版について
読者の方のご指摘により、旧漢字、歴史的仮名遣、送りがな、および誤植を訂正しました。この場を借りてお礼申し上げます。2021.4.29
(この本について)
この本は、先に公開した「完訳聊斎志異」の旧仮名遣い、旧漢字のものとなりますが、原文を生かした形での訳となっています。柴田天馬は「正訳」について以下のように述べています。
「……正譯といふと何か改まつた感じがしますが、要は原文を殆ど增減せずに、振假名の効果を極度に利用し、できるだけ漢音を避け、直譯と意譯を兼ねた平易な文章にしたものであります。ところが、振假名から本文へ、本文から振假名へ、飛石傳ひが煩はしいと云ふ人もあるので、一應振假名を本文に書き改め已に組版を終つてから之を正譯に較べて見ると、意味は全く同じながら、原文の妙字麗句の代りに當て字などが居坐って、明珠を瓦礫に換へたやうに思はれるので、再び稿を新にし、再び版を改めて、略ぼ正譯に近いものとしました。其の正譯と異なるところは、總振假名を部分的振假名にしたこと、一字の接續詞や助字などを假名にしたこと、其の他多少の添竄を加へたことであります。」
ですから、厳密に柴田天馬が意図した「正訳」と言えるものは「嫦娥」一編ですが、ほかもほぼ「正訳」に近いものと言えると思います。
読みやすさでは、先に公開した「完訳聊斎志異」が優りますが、原文の漢文の持つ深い味わいをより多く持つのはこちらの「正訳聊齋志異」だと思います。
作者蒲松齢の生没年は、一六四〇—一七一五、翻訳者は柴田天馬の生没年は、一八七二—一九六三ですので、この本はパブリックドメインとなっています。
全十二巻からなります。この本はそのうちの第一巻です。「序言」と「例言」を巻頭に収録しました。
以下の各編が収められています。
一 西湖主(せいこしゆ)
二 妾撃賊(せふげきぞく)
三 鞏仙(きようせん)
四 辛十四娘(しんじゆうしじよう)
五 宅妖(たくえう)
六 羅刹海市(らせつかいし)
七 杜(と)小雷(せうらい)
八 香玉(かうぎよく)
九 単道士(たんだうし)
一〇 花姑子(くわこし)
一一 何仙(かせん)
一二 封三娘(ふうさんぢやう)
一三 田七郎(でんしちらう)
一四 韋公子(ゐこうし)
一五 苗生(べうせい)
一六 上仙(じやうせん)
一七 嫦娥(じやうが)
一八 鬼令(きれい)
なお、原訳書にあった注は、短いものは割り注の中に入れました。割り注に入りきらないものは、適切な区切りの後に二段階小さな文字にしてカッコにいれました。また明らかな誤植は訂正しました。
また訳文では省略されている、各編末の「異史氏(りようさい)曰(いわく)」の部分の原文を(それがある場合は)各編の最後に収録しました。
各話に通し番号を付けました。
訳者による解説は最終巻の巻末に掲載します。
底本は以下のものとなります。
角川文庫「完訳聊斎志異」第一巻
昭和三十八年六月三十日 十三版発行
(古典教養文庫について)
古典教養文庫は、日本のみならず広く世界の古典を、電子書籍という形で広めようと言うプロジェクトです。以下のような特長があります。
1、古典として価値あるものだけを
これまで長く残って来たもの、これから長く読み継がれていくものだけを選んで出版します。
2、読みやすいレイアウト
文章のまとまりを、適切な改ページで区切って、電子書籍デバイスはもちろん、スマートフォンやタブレットなどでの読書に最適化しました。またMacやパソコンでも読むことができます。
3、すばやい操作性
索引を付けましたので、目次から直接アクセスできます。
4、美しい表紙
プロのデザイナーによる美しい表紙をつけました。書籍と関連づけられた美しい表紙で、実際の本を読むような感覚に浸れます。
5、スピーディーな改版
紙の本と違い、誤植の修正や改訂などすぐに対応でき、刻々と進化を続けます。古典教養文庫のブログに書き込むことで迅速なレスポンスが得られます。