すべてあなたのためだから【分冊版】 2
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4.0 • 20件の評価
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発行者による作品情報
中学受験に挑む母娘。しかしその裏では母親のエゴが暴走し、恐るべき闘いが起きていた。戦慄の衝撃作、第2弾!
小学4年生の娘・菜摘に勉強の才能があることを知り、がぜん受験熱を燃やす良子。模擬試験に向けて、深夜まで母娘で教材と格闘する日々が続いていた。その甲斐あって、二週間ぶりに受けた試験で菜摘は偏差値65という驚異的な結果を残す。DクラスからAクラスへ、一気にステップアップを果たすことになった。
憧れのママ友・麗香も喜んでくれるはずと期待する良子だったが、彼女からの返事はなく、不安に駆られる。その頃、麗香は良子を誘うことなく他のママ友とランチ会をしていた。その場で麗香は、中流家庭の良子の家では有名私立<四葉学院>など分不相応、受かると思っているなら恥ずかしい、と切り捨てる。バカにされていた……その発言を耳にした良子は、これまで慕ってきた麗香への想いすべてを憎しみに変え、受験に心血を注ぐ決意を固めるのだった。受験の裏に隠された壮絶な闘いを描く衝撃作、第2弾。
APPLE BOOKSのレビュー
マンガ家でありいじめを題材にした児童小説も手掛ける著者が、母親の子育てに対する執着、「すべてあなたのためだから」と、子どもに言いながら教育を強いてしまうさまを描いた小説。物語は、世田谷に住む37歳の専業主婦、飯野良子が娘の中学受験を記録に残すためにブログを書き始めることから始まる。学生時代にスクールカーストで最下層にいた良子自身が、無自覚に自分のコンプレックスを娘の菜摘によって塗り替えていこうとする姿に恐怖を覚える。しかし、子育てに正解はなく、子を持つ親なら誰でも一度は自分の子育てが正しいのか、これが子どものためになっているのだろうかと悩むはず。一方的ではあるものの、愛故に「すべてあなたのためだから」と思いながら子育てをする良子の姿を自分に重ねてしまう母親は多いだろう。頼んでもいないのに押し付けてくる母親が少しずつ憎い存在になってしまった菜摘と良子に訪れる悲劇。フィクションなのかノンフィクションなのか、どこかの家庭の日常をのぞいているような現実感が恐ろしい。