ばくうどの悪夢
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- ¥2,000
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発行者による作品情報
「眠れば、死ぬ」
東京から父の地元に引っ越してきて以来、悪夢に悩まされていた「僕」は、現実でもお腹に痣ができていることに気づく。
僕だけでなく、父親の友人の子供たちもみな現実に干渉する悪夢に苦しめられていた。
やがて、そのうちひとりが謎の死を遂げる。
夢に殺されたのか。次に死ぬのは誰か。なぜ、悪夢を見るのか。
理由を探る中でオカルトライターの野崎と真琴からお守りをもらい、僕らの苦悩はいったん静まったかのように思われた。
しかし、今度は不気味な黒ずくめの女に襲われる悪夢を見るようになる。 「比嘉琴子」と名乗るその女は、夢の中で僕を殺そうとしてきて──。
APPLE BOOKSのレビュー
霊能者「比嘉姉妹」シリーズの長編として約5年ぶりに発表された本作は、ホラー映画『エルム街の悪夢』を澤村伊智流ホラーエンターテインメント小説に仕立てたもの。幸せをねたむ人間の醜悪さと、土地に伝わる不気味な子守歌などの土着的なキーワードがこってりと絡む展開にゾワゾワするが、単純な土俗ホラーで終わらないひねりが効いている。ある地方都市の団地に住む子どもたちが、正体不明の“ばくうど”に襲われる悪夢に悩まされるようになる。きっかけは総合病院の産科病棟で発生した凄惨(せいさん)な無差別殺傷襲撃事件。犯人の正体も行方も不明で、町は恐怖と悲しみに包まれた。そんな中で悪夢は、1人また1人と子どもたちの命を奪っていく。悪夢から覚めてもまだ悪夢の中と、夢の入れ子構造は現実世界との境界を曖昧にし、違和感が積み重なる。比嘉姉妹のサポートで悪夢に立ち向かう子どもたちと、目が覚めるような仕掛けが爽快な長編作。