むかしむかしあるところに、死体がありました。
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4.2 • 23件の評価
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- ¥710
発行者による作品情報
昔ばなしが、まさかのミステリに! 「浦島太郎」や「鶴の恩返し」といった皆さまご存じの〈日本昔ばなし〉を、密室やアリバイ、ダイイングメッセージといったミステリのテーマで読み解いたまったく新しいミステリ。「え! なんでこうなるの?」「なんと、この人が……」と驚き連続の5編を収録。数々の年間ミステリにランクイン&本屋大賞ノミネートを果たした話題作、待望の文庫化。
APPLE BOOKSのレビュー
塾とミステリー、ヘンな建物とミステリー、時代小説と数学ミステリーなど、これまでにもさまざまな意外性のあるものとミステリーを融合してきた青柳碧人が、「桃太郎」や「鶴の恩返し」など、日本人ならば誰もが知っている名作昔話とミステリーを掛け合わせた『むかしむかしあるところに、死体がありました。』。「むかしむかしあるところに~」と来れば、おじいさんやおばあさん、正直な若者、山奥の村などと続くのが定番のはずなのに、本作では「死体」。収録されている5つの短編は、「一寸法師の不在証明」「花咲か死者伝言」「つるの倒叙がえし」「密室竜宮城」「絶海の鬼ヶ島」など、タイトルからして不穏な面白さに満ちあふれている。めでたしめでたしで終わったはずの物語に裏があったり、思いもしなかった人物が死体となって出てきたり、打ち出の小づちが予想外な使われ方をしたりと、よく知っていたはずの物語がふいに意外性の塊となって迫ってくる。昔話には一見そぐわない、ミステリーという取り合わせの妙がじんわり後を引く。