金田一耕助ファイル 2 本陣殺人事件
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- ¥730
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発行者による作品情報
江戸時代からの宿場本陣の旧家、一柳家。その婚礼の夜に響き渡った、ただならぬ人の悲鳴と琴の音。離れ座敷では新郎新婦が血まみれになって、惨殺されていた。枕元には、家宝の名琴と三本指の血痕のついた金屏風が残され、一面に降り積もった雪は、離れ座敷を完全な密室にしていた……。アメリカから帰国した金田一耕助の、初登場作品となる表題作ほか、「車井戸はなぜ軋る」「黒猫亭事件」の二編を収録。
カバーイラスト/杉本一文
APPLE BOOKSのレビュー
探偵・金田一耕助の活躍を描いた「八つ墓村」「犬神家の一族」など映画化作品も多い推理作家・横溝正史の作品集「金田一耕助ファイル 2 本陣殺人事件」。表題作の「本陣殺人事件」では、雪の降る旧家・一柳家の離れ座敷で起きた新郎新婦の密室殺人を金田一が解き明かす。戦後間もない時期に発表された本作は、欧米のミステリー作品のスタイルを踏襲しながらも、離れの日本家屋を降雪により密室に見立てるという和の要素を巧みに取り入れた設定が光る。後の横溝作品でも欠かせない世界観の構成要素としてたびたび登場する、古い風習が残る村落という舞台設定が、この初期作品でも神秘性や不気味さをより際立たせている。長年愛され続けているキャラクター・金田一耕助は本作で初めて登場し、アメリカから帰国したという経歴や名探偵誕生の過程など、これ以降の関連作品を一層楽しむためのエピソードも盛り込まれている。収録作の「車井戸はなぜ軋る」「黒猫亭事件」も含めて、初期の金田一耕助の姿を知るのに最適な一冊。
カスタマーレビュー
落丁がありましたのでご報告します
1152ページで本陣殺人事件が途中で終わり、1153ページから車井戸はなぜ軋るが始まっています。
おそらく、落丁と思われるので、ご確認の上、ご対応よろしくお願い致します。
「車井戸はなぜ軋る」に惹かれた
「本陣殺人事件」、「車井戸はなぜ軋る」、「黒猫亭物語」の3編を収載しています。個人的には「車井戸はなぜ軋る」が横溝作品らしくて一番心に沁みました。他の2編は実験小説みたいで、トリックが作為的過ぎてストーリーが破綻寸前のように感じました。でも、ミステリー好きなら「本陣殺人事件」を推すのかもしれませんね。原作の発表時期は、1946-49年でまだ戦後の混乱と進駐軍による占領軍統治下にあった時代です。当時、食べ物や娯楽もない頃に、出版社の求めに応じて矢継ぎ早に発表された横溝の探偵小説ですが、大衆はどのようにこれらの作品群を受け入れたのでしょう。時代の空気感に浸りながら読みすすむと興味がつきません。