半七捕物帳 全冊
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4.7 • 3件の評価
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発行者による作品情報
「半七捕物帳 全冊」
半七捕物帳は捕物帳の元祖です。
著者は岡本綺堂(1872(明治5)年〜1939(昭和14)年)、
半七捕物帳シリーズは大正から昭和にかけて書かれて好評を博し、69編が発表されました。
「わたし」が、もと岡っ引の半七老人から捕物話を聞きます。
1編に1つの事件で、手に取りやすい長さながら、痛快な話あり、しんみりする話あり、
江戸の空気感と、さっぱりしてしつこくない語り口が癖になります。
シリーズ全編を読みやすいよう1冊にまとめ、目次を付けました。
また「綺堂むかし語り」から「回想・半七捕物帳」2編を収録しました。
作品は青空文庫の新字新仮名のものを集め、見出し等を調整しました。
収録したファイルはすべて、インターネットの図書館、青空文庫(https://www.aozora.gr.jp)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
心から感謝します。
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「飛んだ林屋正蔵の怪談で巧く世間を誤魔化そうとしたんだろう。それで世の中が無事息災で通って行かれりゃあ、闇夜にぶら提灯は要らねえ理屈だが、どうもそうばかりは行かねえ。さあ、恐れ入って真っ直ぐになんでも吐き出してしまえ。ええ、おちついているな。脂(やに)を嘗(な)めさせられた蛇のように往生ぎわが悪いと、もう御慈悲をかけちゃあいられねえ。さあ申し立てろ。江戸じゅうの黄蘗(きはだ)を一度にしゃぶらせられた訳ではあるめえし、口の利かれねえ筈はねえ。飯を食う時のように大きい口をあいて云え。野郎、わかったか。悪く片付けていやあがると引っぱたくぞ」
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*目次*
├回想・半七捕物帳 半七招介状
├(1) お文の魂
├(2) 石灯籠
├(3) 勘平の死
├(4) 湯屋の二階
├(5) お化け師匠
├(6) 半鐘の怪
├(7) 奥女中
├(8) 帯取りの池
├(9) 春の雪解
├(10) 広重と河獺
├(11) 朝顔屋敷
├(12) 猫騒動
├(13) 弁天娘
├(14) 山祝いの夜
├(15) 鷹のゆくえ
├(16) 津の国屋
├(17) 三河万歳
├(18) 槍突き
├(19) お照の父
├(20) 向島の寮
├(21) 蝶合戦
├(22) 筆屋の娘
├(23) 鬼娘
├(24) 小女郎狐
├(25) 狐と僧
├(26) 女行者
├(27) 化け銀杏
├(28) 雪達磨
├(29) 熊の死骸
├(30) あま酒売
├(31) 張子の虎
├(32) 海坊主
├(33) 旅絵師
├(34) 雷獣と蛇
├(35) 半七先生
├(36) 冬の金魚
├(37) 松茸
├(38) 人形使い
├(39) 少年少女の死
├(40) 異人の首
├(41) 一つ目小僧
├(42) 仮面
├(43) 柳原堤の女
├(44) むらさき鯉
├(45) 三つの声
├(46) 十五夜御用心
├(47) 金の蝋燭
├(48) ズウフラ怪談
├(49) 大阪屋花鳥
├(50) 正雪の絵馬
├(51) 大森の鶏
├(52) 妖狐伝
├(53) 新カチカチ山
├(54) 唐人飴
├(55) かむろ蛇
├(56) 河豚太鼓
├(57) 幽霊の観世物
├(58) 菊人形の昔
├(59) 蟹のお角
├(60) 青山の仇討
├(61) 吉良の脇指
├(62) 歩兵の髪切り
├(63) 川越次郎兵衛
├(64) 廻り灯籠
├(65) 夜叉神堂
├(66) 地蔵は踊る
├(67) 薄雲の碁盤
├(68) 二人女房
├(69) 白蝶怪
├付録 年表
├回想・半七捕物帳 捕物帳の成り立ち
└底本などに関する情報