よだかの片想い
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- ¥580
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発行者による作品情報
顔に目立つ大きなアザがある大学院生のアイコ、二十四歳。恋や遊びからは距離を置いて生きていたが、「顔にアザや怪我を負った人」をテーマにした本の取材を受け、表紙になってから、状況は一変。本が映画化されることになり、監督の飛坂逢太と出会ったアイコは彼に恋をする。だが女性に不自由しないタイプの飛坂の気持ちがわからず、暴走したり、妄想したり…。一途な彼女の初恋の行方は!?
APPLE BOOKSのレビュー
『ナラタージュ』『Red』と大人向けの恋愛小説が映画化されてきた島本理生。その著者が、生真面目で恋愛下手な大学院生の片思いを描いたキュートな恋愛小説が『よだかの片想い』であり、こちらも映画化となった。初めての恋という魔法にかかって妄想が止まらず、たった1行のテキストメッセージに身もだえる姿は、初恋を経験した人ならば共感できるだろう。顔に目立つアザがあるせいで、アイコは恋愛や遊びとは無縁の生活を送り、物理学の研究に打ち込んできた。閉じられた世界で静かに生きていくつもりだったが、幼なじみの誘いで顔にアザやけがのある人々のルポタージュに協力したことから、人気映画監督の飛坂と出会い、初めて恋を知る。言葉の一つ一つが新鮮で、尊敬できる人。駆け引きのできない不器用なアイコが前のめりでも、恋に慣れた飛坂はそんな姿を笑顔で見守る。狭い世界で生きてきたアイコにとって、飛坂は新しい世界と自分自身を見せてくれる存在になっていく。ままならない恋にぶつかっては傷つき、変わっていくアイコの強さは、爽やかで未来あるラストへとつながる。キリリと背筋が伸びるような強さと成長がまぶしい。