ファーストラヴ
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- ¥780
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発行者による作品情報
夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。彼女は父親の勤務先である美術学校に立ち寄り、あらかじめ購入していた包丁で父親を刺殺した。環菜は就職活動の最中で、その面接の帰りに凶行に及んだのだった。環菜の美貌も相まって、この事件はマスコミで大きく取り上げられた。なぜ彼女は父親を殺さなければならなかったのか?
臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼され、環菜やその周辺の人々と面会を重ねることになる。そこから浮かび上がってくる、環菜の過去とは?「家族」という名の迷宮を描く傑作長篇。
第159回直木賞受賞作。
※この電子書籍は2018年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
APPLE BOOKSのレビュー
第159回(2018年上半期)直木賞受賞作 - 男女の恋愛における心理を緻密に描き、独特の雰囲気をまとった作品を書いてきた島本理生が放つ重厚なミステリー。"初恋"という甘酸っぱいタイトルとは裏腹に、家族という閉ざされた空間に潜む闇、恋と混同してしまいがちな性欲、それらの歪みを受けて形成された少女の自己崩壊と再生を描き出す。アナウンサー志望の女子大生が画家の父親を刺殺した。このスキャンダラスなニュースを題材に、ノンフィクションの執筆を依頼された臨床心理士の真壁由紀は、犯人の聖山環菜と面会を重ねていく。母親が検察側の証人に立つという話にどこかひっかかりを感じた由紀は環菜の周辺人物からも話を聞くが、自らを「嘘つき」と呼ぶ環菜の内面になかなか迫れずにいた。自己主張があまりなく、殺害動機すら「見つけてほしい」と人頼みだった環菜が初めて見せた怒りの感情をきっかけに、裁判の行方は大きく変わっていく。由紀との面会を通して、次第に自分を取り戻していく環菜。環菜と向き合うことで自らのトラウマとも向き合えるようになっていく由紀。登場人物それぞれが見出すささやかな希望が強く印象に残る。
カスタマーレビュー
内容は
重たいはずなのに、読んでいて、心が洗われるような不思議な感覚。
期待が大き過ぎました
映画で主人公を北川景子が演じる情報を得てから読んだ作品でしたので、期待をしていました。
個人的には、小説と映画の主人公がちょっと合っていないのではないかと感じました。
映画を観ていないので何とも言えませんが、小説の主人公は凄く繊細で脆い中に強い芯を感じるイメージを持ちました。
自分自身が大雑把な性格で、平凡な少女時代を送った事もあり、小説の中の誰とも共感する部分が感じられませんでしたが、纏まった小説ではあります。
さすがの一言
映画の前に、まず読んで欲しい