イラストでわかる ANK免疫細胞療法
『がん治療』でお悩みの方へ。
発行者による作品情報
【前書きにかえて】
1975年、健康な人の血液の中から、どのようながん細胞でも出会ったその場で直ちに殺す免疫細胞が発見され、「生まれながらの殺し屋」ナチュラルキラー(NK)細胞と名付けられました。
当時、すでに感染症防御において重要な役割を担うT細胞や樹状細胞を、がん治療に応用しようとする免疫細胞療法、がん細胞由来の物質を投与する「がんワクチン」などが盛んに研究され、実験的な治療も始まっていました。ところが、感染症に対する免疫と腫瘍免疫(がんに対する免疫)とでは、仕組みも主役となる細胞も異なり、最初から無理がある話ではあったのでした。
1984年、腫瘍免疫の主役であり、がん細胞を殺す能力が最も高い”NK細胞”をがん治療に用いるというシンプルな発想から、米国国立衛生研究所NIHは、標準治療が奏効しないがん患者さん数百名を対象に、LAK療法と呼ばれる免疫細胞療法の大規模臨床試験を実施しました。大きな腫瘍が一気に壊死を起こし、再発しない著効も得られましたが、副作用とコストが尋常ではなく実用化には至りませんでした。
LAK療法では血液中の全ての免疫細胞を区別することなく刺激し体内に戻していましたが、NK細胞を除去するとほとんどがん細胞を殺さないことが確認されたことにより、血液中の免疫細胞の中でがん細胞を攻撃する戦力の大半はNK細胞であることも証明されました。
90年代に入り、京都大学で繊細な細胞培養技術を駆使し、NK細胞だけを選択的に増殖させることに世界で初めて成功し、『ANK療法』と名付けられました。AはAmplifiedの略で「活性化」と「増殖」、両方の意味が込められています。
米国LAKでは血液延べ数十リットル相当を体外循環させてリンパ球を分離採取しましたが、ANK療法では1クール12回分の点滴で、5~8リットルの血液を体外循環させながら、その中のリンパ球を集めます。
※リンパ球は血液の外に100倍以上いますので、どんなに採取しても、すぐに血液中へ補充されます。
国内の他の免疫細胞療法は採血量が数十ミリリットルに過ぎず、点滴で細胞を戻した際にも発熱しませんが、それに比べてANK療法は活性化されたNK細胞の数が桁違いに多いため、点滴のたびに40℃近い発熱を伴います。がんは目の上の瘤である腫瘍免疫を強く抑制しながら増殖します。がんの増殖を許してしまった患者さんの免疫を使って、がん治療をするのですから、当然、眠っている免疫を叩き起こす、一定以上の強い免疫刺激が必須となります。安全な治療や「体によい」とされるものでは、通常、強力な免疫抑制によって効果をあげられないのです。しかし、米国LAK療法のように、免疫抑制の一発爆破を狙う治療では危険すぎます。そこでANK療法では、NK細胞の活性においても細胞数においても、米国LAKを上回る破壊力でありながら、安全に治療できるよう、12回の点滴に分けたのです。
※患者さんの体内には数百億個の”NK細胞”が眠らされたような状態になっており、これらを覚醒させれば がんと闘う大きな戦力になりますが、免疫刺激物質のほとんどが発熱物質であるため、強い免疫刺激に発熱は必発となります。
カスタマーレビュー
わかりやすい
難しい免疫療法の説明がとてもわかりやすい。癌になるまえに読んでおくのがベストです。