テスカトリポカ
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- ¥2,200
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発行者による作品情報
メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、対立組織との抗争の果てにメキシコから逃走し、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会った。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へと向かう。川崎に生まれ育った天涯孤独の少年・土方コシモはバルミロと出会い、その才能を見出され、知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていく――。海を越えて交錯する運命の背後に、滅亡した王国〈アステカ〉の恐るべき神の影がちらつく。人間は暴力から逃れられるのか。心臓密売人の恐怖がやってくる。誰も見たことのない、圧倒的な悪夢と祝祭が、幕を開ける。
APPLE BOOKSのレビュー
国際的な臓器売買ビジネスと古代文明アステカ神話が渾然一体となった衝撃のクライムノベル。物語の舞台となった神奈川県川崎市のホテルに滞在し、3年半を費やして佐藤究が発表した本作は、第165回直木賞と第34回山本周五郎賞をダブル受賞した。メキシコから川崎に流れついた母と暴力団員の父を持つ土方(ひじかた)コシモ。親の愛に恵まれなかったコシモは重大な事件を起こし、少年院へと送られる。一方、対立する麻薬カルテルに襲撃され、メキシコからジャカルタへ逃げたバルミロ。彼は、臓器密売ブローカーとして暗躍する日本人から究極の臓器売買の構想を持ちかけられる。生と金に魅せられた人々の残酷さとすさまじい熱量、スペイン語を多用した膨大な情報が渦巻き、めまいのような感覚に襲われる。『水滸伝』のように次々と登場する個性的なキャラクターも、読者の情報処理能力の限界を試すかのようだ。しかし、鮮やかな場面転換と未知なる恐怖への好奇心が、54章に及ぶ激流へと引きずり込む。極悪非道、前代未聞のビジネスに集まる人々、利用される人々。小さな登場人物の過去と心情にも光が当てられ、凶悪でグロテスクなだけの犯罪物語で終わらない。ひりついた心にかすかに希望の光が差す力作。
カスタマーレビュー
凄い迫力
裏社会のことが詳細に書いてある