爆発物処理班の遭遇したスピン
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3.6 • 9件の評価
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- ¥1,700
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発行者による作品情報
第165回直木賞作家 異次元レベルの最新短編集
創造と破壊のエンタングルメント
この面白さ、解除不能
「ミステリ×SF×怪物」が開くのは「世界」の扉
小説の最前線、ここから前人未到、読み逃し厳禁
きっとアナタも究中毒になる―
爆発物処理班の遭遇したスピン…鹿児島県の小学校に、爆破予告が入る。急行した爆発物処理班の駒沢と宇原が目にしたのは黒い箱。処理を無事終えたと安心した刹那、爆発が起き駒沢は大けがを負ってしまう。事態の収拾もつかぬまま、今度は、鹿児島市の繁華街にあるホテルで酸素カプセルにも爆弾を設置したとの連絡が入った。カプセルの中には睡眠中の官僚がいて、カバーを開ければ即爆発するという。さらに同時刻、全く同じ爆弾が沖縄の米軍基地にも仕掛けられていることが判明。事件のカギとなるのは量子力学!?
他に、日本推理作家協会賞短編部門候補「くぎ」、「ジェリーウォーカー」「シヴィルライツ」「猿人マグラ」「スマイル・ヘッズ」「ボイルド・オクトパス」「九三式」を収録。
あなたは、物語の転換点に立たされる
APPLE BOOKSのレビュー
犯罪小説の前作『テスカトリポカ』で直木賞を受賞したミステリー作家、佐藤究による初の短編集。前作以前に文芸誌などで発表した粒ぞろいの8編が連なる。表題作の「爆発物処理班の遭遇したスピン」は、佐藤が強い関心を寄せる量子力学がテーマの意欲作。環境テロ組織が仕掛けた異次元の爆弾に苦戦する鹿児島県警の爆発物処理班と、それをかき乱すように最新物理学が侵入するハイブロウな構成となっている。突き放したような切れのある文体も相まって、解決不能の余韻が心にひっかき傷を残す。他に同郷の小説家、夢野久作の奇書『ドグラ・マグラ』へオマージュをささげる「猿人マグラ」「九三式」や、『テスカトリポカ』と同じ川崎を舞台にしたバイオレンス「くぎ」など、佐藤の頭の中をのぞくような感覚が押し寄せる作品がそろう。幅広いジャンルを書き分ける才能と、一気に読ませる疾走感を堪能したい傑作選。