ネズミの楽園と人類の未来
ユニバース25が警告する、豊かさの果て
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発行者による作品情報
1973年、アメリカで始まった驚くべき実験「ユニバース25」。無限の食料、水、そして天敵のいない完璧な環境、まさにネズミの理想郷(ユートピア)。しかし、たった8匹から始まった楽園は、爆発的な繁栄の後に、なぜ自ら静かな滅亡を選んだのか?
動物行動学者ジョン・B・カルフーンは、都市化が進む人間社会の未来をネズミに託しました。個体数が飽和に達する前、彼らは異常な密集現象「行動のシンク」を引き起こし、社会は崩壊。オスは闘争を止め、メスは育児を放棄。ついには繁殖を一切行わず、ただ静かに死を待つ「美しい者(The Beautiful Ones)」が台頭します。カルフーンが「第二の死」と呼んだ、肉体的死に先立つ精神的な死。
インターネット、過密な都市、そして豊かさの果てに生きる私たち人類。本書は、ネズミの楽園の誕生から死滅までの壮大な記録を追いながら、現代社会の引きこもり、無気力、SNS依存、そして生きる意味の喪失といった現象を、ユニバース25のレンズを通して鋭く分析します。
これは、豊かさを実現した文明が直面する最も不吉な警告の書です。私たちはネズミではない。では、このディストピアを回避するために、何をすべきか? 究極の問いを突きつけられる、人類の未来の鍵が、ここにある。