



マルクス・アウレーリウス 自省録
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3.9 • 20件の評価
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発行者による作品情報
あたかも一万年も生きるかのように行動するな。生きているうちに、許されている間に、善き人たれ──ローマ皇帝でストア派の哲人マルクス・アウレーリウス(121-180)。多端な公務に東奔西走しつつ、透徹した目で自らを内省した記録は、古来、数知れぬ人々の心の糧となってきた。神谷美恵子の清冽な訳文に、新たな補注を加えた。(改版)
APPLE BOOKSのレビュー
2世紀の古代ローマ皇帝マルクス・アウレーリウスによる自省の記録。マルクス帝は、帝国の最盛期を築き、ローマ五賢帝にも数えられるが、同時に後期ストア派の哲学者でもあった。優れた人格者で、貴族の腐敗に染まることなく、多忙な日々の中、思ったことや感じたこと、自身への反省を書き留めていた。それをまとめた書だが、他人が読むことを前提としていないため、散文的でメモ書きのようでもある。しかし、自らの内省をつづり続ける皇帝は、自然や人、倫理の関わりの真理に至る境地に達しており、一個の人間が到達しうる精神的高みを示したその内容は、現代にも通用する普遍的なものだ。全12巻に分かれているが、どこから読み始めても共感と癒やしを感じられる。何世紀にもわたって読み継がれてきた名著であり、日本でも明治時代から翻訳されてきた。本書は、精神科医でもあった神谷美恵子の整然とした訳に新たな注釈を付けたもの。世界的名著が戦後間もない時期に女性の手で訳され、広く知られるようになったということにも大きな意義が感じられる。