ライオンのおやつ
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- ¥790
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発行者による作品情報
【本書は2019年10月に刊行した単行本に、加筆修正して文庫化したものです】人生の最後に食べたいおやつは何ですか――若くして余命を告げられた主人公の雫は、瀬戸内の島のホスピスで残りの日々を過ごすことを決め、本当にしたかったことを考える。ホスピスでは、毎週日曜日、入居者がリクエストできる「おやつの時間」があるのだが、雫はなかなか選べずにいた。食べて、生きて、この世から旅立つ。すべての人にいつか訪れることをあたたかく描き出す、今が愛おしくなる物語。2020年本屋大賞第2位。
APPLE BOOKSのレビュー
誰もが避けられない“死”をテーマに、終末期を迎えた若い女性の移ろいゆく心境を小川糸ならではの優しい筆致で描いた『ライオンのおやつ』。余命宣告を受けた33歳の雫は、瀬戸内海の島にある海が見えるホスピスで余生を過ごすことを決意する。隠れ家ホテルのような優雅な空間のホスピス“ライオンの家”の周囲には、メイド服を着た代表のマドンナをはじめ、食事担当の狩野姉妹、音楽セラピストのカモメちゃん、入居人のアワトリス氏と、一風変わった人ばかり。規則がなく好きなように暮らせる上に、食事は365日毎朝異なるお粥をはじめ、ランチバイキングやお茶会など、制限なく好きに食べられる。中でも日曜日のお茶会で振る舞われるのは、入居者のリクエストによる特別なおやつ。リクエストを決めかねていた雫だが、ようやくおやつが決まった時、彼女の死はすぐそこまで近づいていた。しみじみとおいしいものを食べ、自由に過ごし、さまざまな出会いと別れを経験することで、理不尽に感じられた死に対する怒りを癒やしていく雫。死への葛藤を繰り返しながらも、ライオンの家で過ごす喜びや感謝の気持ちを忘れず、ありのままを受け入れようとする雫の姿に涙腺が崩壊する。
カスタマーレビュー
不思議な読後感、一年先に読み返してみます。
瀬戸内海の島のホスピス、少し不思議なアットホームな雰囲気、若くしてホスピスに入ることになった主人公の方、
食べることをキーワードとして過去との対面、これらが美しく静かで暖かく、描かれています。読み終わって大変心動かされたのを感じます。
一方、感想を書いていて、この物語に対して消化が出来ていない部分もあるのもわかりました。
人の最後がここまで美しく平穏で、周りの人とも心通わせ、全てを許し合えるのか? 憧れる物語ですが、もっと色々な意味で切なさが残るのが現実かと思います。
でも、この感情や人の死について考えさせる力があるのがこの本の素晴らしい点だと思います。一年ぐらいして読み返し再考したいと思わせる本です。
その際、星をもう一つ足すかどうか考えます。
こんな最期を迎えたい
主人公の女性が同じ世代なので、若くして余命を宣告されまだまだやりたい事があっただろうな、経験したいこともあっただろうなと我が身を重ねてページをめくりました。死について実際のところは誰にも分かりませんが、人生の最期がこんなふうならいいなと思いました。