ロウソクの科‪学‬

APPLE BOOKSのレビュー

19世紀に活躍したイギリスの偉大な科学者、マイケル・ファラデー。貧しい家庭に生まれ、製本所で働きながら科学者を志し、イギリス王立研究所の雑用係から科学の世界へ足を踏み入れた彼は、理科教育にも熱意をもって取り組んだ。本書「ロウソクの科学」は、ファラデーが子ども向けに行った講演をまとめたもの。1本のロウソクをめぐり、ロウソクはなぜ燃えるのか、ロウソクが燃える時には何が起きているのかといった現象を解き明かす。子どもでも理解できるように、身近なものを使った本格的な科学実験をまじえながら、どんな事象にも理由があるという科学の基本的な考え方を分かりやすく伝えていく。19世紀当時の最先端科学がふんだんに紹介されているのも興味深い。ノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏や、ノーベル医学生理学賞を受賞した大隅良典博士が少年の頃に愛読し、自身の原点になったと語っており、大人も子どももそろって科学の真髄に触れることができる名著。