交番相談員 百目鬼巴
-
-
2.7 • 6件の評価
-
-
- ¥1,800
-
- ¥1,800
発行者による作品情報
交番相談員が見抜く、警察官たちの闇と罪。
2025年度最注目の連作ミステリ短編集!
警察を定年退職し、非常勤の「交番相談員」として働いている百目鬼巴(どうめき・ともえ)。
見た目は普通のおばさんで、性格も穏やかだが、彼女には妙な噂があった。
「彼女には県警本部の刑事部長でも頭があがらない」
「現役時代には、未解決事件の捜査にあたってほしい、と熱烈なお呼びが掛かっていた」
「なぜか科学捜査の知識も豊富に有している」
半信半疑で一緒に働いていた若手警察官は、
しかしすぐにその噂が真実であることを知る。
彼女は卓越した洞察力で、目の前で起こっていることの
真相・裏側を立ちどころに見抜いてしまうのだ――。
『教場』シリーズの著者であり、
当代きっての短編ミステリの名手による、
新「警察小説」シリーズ、開幕です!
APPLE BOOKSのレビュー
ドラマ化された『教場』シリーズで知られる警察小説の名手、長岡弘樹が新たに手掛けるのは元警察官を主人公にした短編ミステリー小説。本作の主人公は、警察官の交番での業務をサポートする交番相談員の百目鬼巴(どうめき ともえ)だ。その恐ろしげな名前とは裏腹に、警察を定年退職している彼女は、いたって普通の見た目と穏やかな性格を持つ女性。その豊富な経験と科学捜査の知識を買われ、刑事部から「未解決事件の捜査にあたってほしい」と請われるほどの存在ながら、「ものごとをほじくり返すと、ろくなことがないから」と言って断り続けてきたという。日々、さまざまな交番にヘルプに入る彼女は、その鋭い洞察力で警察官たちが起こしてしまった事件の真相に次々とたどり着いていく。自転車窃盗の検挙ノルマが招いた悲劇、中学生ひき逃げ事件に隠された謎、カミツキガメが暴く殺人事件の手がかり…。各話ごとに、語り手と登場人物が変わっていく構成は、ごく少ないヒントや会話の違和感だけで事件を解決に導いていく百目鬼のすごみを際立たせている。身近な存在ながら、あまり知られていない交番の日常業務のリアルな描写と、本格ミステリーの鮮やかなトリックを共存させる手腕は、まさに作者の真骨頂だといえるだろう。