僕って何
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4.5 • 2件の評価
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発行者による作品情報
田舎から上京し、学園紛争真っ只中の大学に入学した僕。何も知らない母親っ子の僕が、いつの間にかセクトの争いや内ゲバに巻き込まれ、年上のレイ子と暮らすことになる……。芥川賞受賞の永遠の青春小説。
APPLE BOOKSのレビュー
第77回(1977年上半期)芥川賞受賞作 - 学生運動真っ盛りの時代を舞台に、一人の青年が「自分とは何か」という普遍の悩みと向き合う姿をみずみずしく描いた青春小説。田舎で過保護なほどに母親から愛され、受験勉強の他に何も知らずに育ってきた“僕”が入学したのは、学園闘争が激化し、内ゲバなどの暴力やセクト間の争いが横行する東京のとある大学。周りに流されるままに「B派」の活動に参加することになった僕は、年上の女子学生でB派の幹部を務める戸川レイ子と出会い、彼女のペースに巻き込まれながら同棲を始めることに。しかしある日、クラスメートの海老原から、自分自身が共感できる「全共闘」への勧誘を受けた僕はB派を抜けることを決意するが…。この作品が描き出すのは、組織における自分の存在意義や、個人的な人間関係の間で悩みながら葛藤する、いつの時代も決して変わらない人間の姿。自分にない才能を持つ誰かに憧れ、成り行きの関係から誰かを好きになり、組織のために自分のやりたくない行動に出てしまう。生きていく上で誰もが経験し得るシチュエーションを、“僕”の目を通して臨場感たっぷりに擬似体験できる。