処方箋のないクリニック
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4.0 • 40件の評価
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- ¥760
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発行者による作品情報
メスを入れるのは病気じゃなくて人間関係!
『感染』で第1回小学館文庫小説賞を受賞。医療ミステリーの第一人者仙川環が贈る新境地。
「こんな先生に診てもらいたい!」書店員さん絶賛の医療小説。
東京郊外にある古びた洋館。そこには先端科学では治せない患者と家族の「人生」を治療する名医がいる。凄腕、イケメンだけど、ちょっと変わり者の医師青島倫太郎。
目が悪くなったのに車の運転をやめない父。怪しげなサプリにはまる母。民間治療に心酔した妻……。そんな患者を持つ家族たちはどうしたらいいのか。スイーツと紅茶の香る古い洋館の診察室を訪れた患者と家族は、青島と話をするうちに、隠していた心の内を打ち明けてしまう……。
現代の赤ひげ先生が、鮮やかに患者と家族のトラブルを解決するハートウォーミングお医者さん小説。
※この作品は単行本版『処方箋のないクリニック』として配信されていた作品の文庫本版です。
APPLE BOOKSのレビュー
大学院医学系研究科修了後に経済紙の医療担当記者として取材を重ね、医療ミステリー『感染』でデビューした仙川環。確かな専門知識を武器に息の詰まるサスペンスを発表してきたが、『処方箋のないクリニック』は身近な病気を取り上げたユーモラスな小説になった。緑内障、高血圧、肥満、アトピー性皮膚炎などは、すぐに命に関わる病気ではないけれど、身近ゆえに民間療法や怪しげな健康法が氾濫し、振り回される患者や家族が多いのも事実。真正面から正しい知識を説明しても納得されないのなら、『北風と太陽』の太陽のように温かく包み込んでみようとの思いで執筆したのが本作だという。海外の名門病院でキャリアを積んだ青島倫太郎医師は、父が設立し、弟が経営拡大に成功した青島総合病院の敷地内の一角に総合内科を開設。患者や家族の悩みにとことん耳を傾ける、自由診療の医療相談を始めた。倫太郎医師の真摯(しんし)に聴く力は相談相手の心をほぐし、悩みの本質に気付かせていく。こじれた人間関係も解決するその手法は、日常生活の参考になるはずだ。