勘定侍 柳生真剣勝負〈一〉 召喚
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4.1 • 16件の評価
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- ¥720
発行者による作品情報
大坂商人、柳生一族の陰謀に巻き込まれる!
時は寛永十三年――江戸城黒書院に呼び出された、惣目付を務める柳生但馬守宗矩。
上段の間の襖が開くと、老中の堀田加賀守より、「役目に奨励をもって、四千石を加増する」との旨が伝えられた。
本禄の六千石と合わせて、ついに一万石となり、晴れて大名となった柳生家。
だが、宗矩の顔は沈んでいた。
大名を監察する惣目付が、大名になっては都合が悪いためだ。
案の定、宗矩は即日惣目付を解かれ、監察される側に回されてしまう。
惣目付時代に買った恨みから、痛くもない腹まで探られてはかなわない。
なにしろ旗本から大名になれば、典令や家政が大きく変わるため、隙を生みやすいのだ。
一族最大の危機から逃れるべく、策を講じなければならなくなった宗矩は、なかでも武士が苦手とする金勘定が危ういと考え、ある秘策を思いつく。
なんと、大坂一と言われる唐物問屋淡海屋七右衛門の孫である一夜を召し出すという。
いったい柳生家と一夜は、どんな関わりがあるのか?
武士となった一夜に、宗矩の嫡男である十兵衛は、柳生家の者として剣術を身につけよと新陰流を指南するが……。
果たして一夜は柳生家を救えるのか?
痛快時代小説シリーズ第一弾!
APPLE BOOKSのレビュー
当代きっての人気時代小説作家、上田秀人の時代劇×経済という異色の組み合わせによる、新たなシリーズ1作目『勘定侍 柳生真剣勝負〈一〉 召喚』。大阪一との呼び名も高い唐物問屋淡海屋七右衛門の孫、一夜は突如現れた柳生家の使者によって家政を担う勘定方として召し出される。事のはじまりは将軍家剣術指南役及び惣目付として辣腕(らつわん)を振るっていた柳生家当主、但馬守宗矩の慶事にあった。惣目付として各地の大名たちが謀反を起こさぬよう監察し、数多のお家を取りつぶしてきた宗矩はその功を認められ大名となった。人員を増やさねばならず出費が増大する柳生家だが、剣に強くとも金策は不得手。そこで宗矩が目をつけたのが、淡海屋の娘との間になした庶子、一夜だったのだ。大名となると同時に惣目付の任を解かれ、監察を受ける側に回った宗矩を取りつぶそうとうごめき始める、かつての同僚たち。柳生家に迫る危機に一夜も巻き込まれていく。剣術でおなじみの柳生家を舞台にしながらも、主人公の一夜は剣術に全く興味がない根っからの大阪商人という設定。武士としての体面を重んじ、経済を侮る父や兄たちとは対照的に、商人の誇りを持ち、無駄を嫌い、算盤勘定を忘れない一夜の活躍に期待が高まる。