新装版 捨て童子・松平忠輝(上)
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5.0 • 4件の評価
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発行者による作品情報
捨て童子とは、この世ならぬ途方もないエネルギーを持ち、人を戦慄せしめる人物! 徳川家康の第六子でありながら、容貌怪異なため、生まれ落ちてすぐ家康に「捨てよ」と言われた“鬼っ子”松平忠輝の異形の生涯を描く、傑作伝奇ロマン小説。新鮮な発想や史観、壮大なスケールで完結をみた、著者最後の長編。
APPLE BOOKSのレビュー
徳川家康の六男として生まれながら、数奇な運命をたどった松平忠輝を描く傑作時代伝記小説。『一夢庵風流記』で前田慶次郎を天下一の傾奇者(かぶきもの)とし、一躍人気武将に押し上げたのと同じく、本作では徳川家の中でも異色の存在である松平忠輝を、捨て童子という言葉をキーワードとし、その才能と生きる姿にフォーカスする。父の徳川家康が「捨てよ」と言うほど異形な姿で生まれた忠輝は、田舎の小大名に拾われて育ち、長じて文武の才能を開花させる。しかし、その才能故に兄である徳川秀忠から疎まれ、命まで狙われる。次々と降りかかる忠輝への受難と、それをはね返す強さと天真爛漫(らんまん)な姿が爽快で、すぐに続きが読みたくなる。史料を調べ上げ、忠輝の歩む道は史実通りに進めつつ、そこに著者の鋭い視点と解釈が加わることで、一級のエンターテインメントに仕上がっている。忠輝を支える傀儡子(くぐつ)の一族と、秀忠の命を受けた柳生一族との攻防などはいかにも伝記小説的。初版から30年以上がたちながらも、その魅力がまったく衰えていない。全3巻の新装版。