



ルドルフ・カイヨワの憂鬱<新装版>
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4.5 • 2件の評価
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- ¥770
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発行者による作品情報
この物語のもっとも悲劇的な側面。それは、被害者が、胎児であることーーーーーー。謎のウィルスに冒された合衆国。弁護士カイヨウの調査は、巨大な陰謀につきあたる・・・・・・。近未来ハードボイルドの傑作! 第5回日本SF新人賞佳作入選作。
新生児に先天的な脳障害を引き起こす「ゲノム・ウイルス」。この新種ウイルスによって甚大な被害を被ったアメリカ合衆国では、自然出産を禁止し、体外受精や胎児のDNAスクリーニングが義務化されようとしていた。そんな中、遺伝子関連問題を専門に扱う弁護士ルドルフ・カイヨワは、ある病院の不正卵採取疑惑を調査するうちに、大きな陰謀に突き当たることとなった。彼は友人の私立探偵オタや、依頼人の美女ローラらとともに謎に迫るが、やがて自らの出生にまつわる秘密にもかかわることとなっていく…。選考委員各氏から、群を抜くリーダビリティーと、エンターテインメントとしての完成度を高く評価された、近未来ハードボイルドの傑作。03年、第5回日本SF新人賞の佳作に入選。
APPLE BOOKSのレビュー
近未来のアメリカを舞台に、一介の弁護士がバイオ企業と国家の陰謀に立ち向かっていく姿をスリリングに描いた北國浩二のデビュー作『ルドルフ・カイヨワの憂鬱』。無脳症を引き起こす新種のウイルスがまん延したアメリカ合衆国では、自然出産が禁じられ、体外受精が義務化されようとしていた。ロサンゼルスで遺伝子関連問題を専門に扱う弁護士のルドルフ・カイヨワは、ある日、女性のための無料病院で不正な卵採取が行われていることに気付く。親友でもある元FBIの私立探偵オタと共にその実態を調査し始めると、たびたび危険な目に遭うようになっていく。そこには国家の関わる巨大な陰謀が隠されていたのだ。カイヨワはさらに自身の出生の秘密にも直面するが…。日本人による日本語の小説ながら、物語の舞台はアメリカで、登場人物もすべてアメリカ人。読みやすさを備えながら海外文学のような雰囲気を味わえる、ハードボイルドな趣を持った完成度の高い娯楽小説だ。謎のウイルスに冒された世界という設定は、2005年の発表当時とはまた違ったリアリティをもって迫ってくるだろう。