なめくじに聞いてみろ 新装版
-
- ¥1,100
-
- ¥1,100
発行者による作品情報
本格推理(ミステリ)+活劇小説(アクション)の最高峰!
――日下三蔵氏(ミステリ・SF評論家)、絶賛!
読み始めたらやめられない、これぞ「活字のジェットコースター」
天才科学者・桔梗信輔が発明した奇抜な殺人方法を闇に葬れ! 息子の信治は父の死後、出羽の山中から東京へと向かった。目指すは父から技術を伝授された十人を超える殺し屋たちの抹殺。奇想天外な武器を操る者たちに、悪事に無縁の青年はどう立ち向かうのか? 国産アクション小説の金字塔、ついに復刊!
【日下三蔵氏によるミニ解説】
岡本喜八監督が惚れ込んで「殺人狂時代」(1967年)として映画化したことでも知られる国産アクション小説の金字塔、久しぶりの復刊です。翻訳ミステリの編集者として007シリーズの原作小説を日本に初めて紹介した都筑道夫は、その本質を「大人の紙芝居」と表現しました。日本を舞台にその面白さを再現することをねらって書かれたこの作品には、攻撃と反撃(アタック&カウンターアタック)のアイデアが惜しげもなく投入されていて、まるで読み始めたらやめられない「活字のジェットコースター」のようです。謎解きの面白さと冒険活劇の面白さを一冊で堪能できる贅沢な大人のためのエンターテインメントを、ぜひ手にとって見てください。
APPLE BOOKSのレビュー
知られざる冒険活劇小説の金字塔『なめくじに聞いてみろ』。著者の都筑道夫は、小説や評論、エッセイで活躍した他、推理小説の翻訳にも携わり、海外ミステリーやSFの普及に尽力した人物。悪事とは無縁の青年が殺し屋たちを葬るために奮闘する姿を軽妙なタッチで描く。天才科学者の桔梗信輔は、数々の奇抜な殺人法を発明し、12人の殺し屋を育て、この世を去った。それを知った息子の信治は、父の「血に飢えた遺産」を清算すべく、出羽の山中から東京へと赴く。そして、自動車泥棒の大友、情報調査会社の啓子、スリを休業している壺ふりのお竜を仲間に、父の弟子たちに戦いを挑んでいく。殺人の武器となるのはカードや雨傘、マッチ、松葉杖といった奇想天外な小道具ばかりで、ユニークなアイデアが満載の娯楽小説だ。もともと1962年に刊行された『飢えた遺産』を改題した作品だが、ウィットに富んだ台詞の応酬や、小気味よいテンポで繰り広げられるストーリー展開は、まったく古びた印象を与えない。その一方で昭和30年代の風俗を垣間見ることができる点が興味深い。岡本喜八監督によって『殺人狂時代』として映画化されている。