



反三国志 上
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- ¥850
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- ¥850
発行者による作品情報
蜀の劉備、魏・呉を滅ぼして三国を統一す! 巷間、流布されている「三国志」の叙述は誤りであるとし、全体をひっくりかえす、幻の書の完訳。悲劇の人物として描かれた劉備を、漢の中興をなした英雄として活写する。各陣営の勇将の活躍も生き生きと甦える。厳密な時代考証と人間描写で綴る一大歴史ドラマ。<上下巻>
APPLE BOOKSのレビュー
100年近く前に発表された『三国志演義』の二次創作。歴史に「もしも」はないが、現在では架空戦記小説が人気ジャンルの一つになっている。その元祖ともいえるのが本作。中国が魏、呉、蜀の三国に分裂していた時代を描いた『三国志演義』は、主人公を蜀の劉備と位置づけているが、歴史上は滅亡してしまう。それが許せない著者が徹底的に蜀の側に立ち、史実として伝えられている正史とも、小説である演義ともまったく違う内容で新たな三国志を構築する。演義では途中退場する徐庶や龐統が健在で、名軍師の諸葛亮をサポート。武将では五虎大将に加えて姜維なども序盤から登場する。特に馬超と趙雲の活躍は目覚ましく、魏の曹操を倒して呉を圧倒し、三国統一へと突き進む。蜀のファンにとっては、胸のすくような展開の連続といえる。新聞連載で始まったが、あまりにも蜀びいきの内容に賛否両論を巻き起こしたまさに奇書。しかし、ゲームやマンガなどで歴史改変作品があふれる現在、この想像力のたくましさは、読んでみる価値がある。