若殿八方破れ
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3.0 • 3件の評価
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発行者による作品情報
寝込みを襲われた。いったい誰が己の命を狙うのか。辛くも凶刃から逃れた信州真田家跡取りの俊介は頭をしぼる。国元で暮らす腹違いの弟力之介の祖父にして、国家老でもある大岡勘解由(かげゆ)の仕業なのか。闇討ちの裏が明らかにならぬまま、今度は忠臣の辰之助が殺された。筑後有馬家に関わる男の所行と分かったが、俊介は思いもせぬ縁談が進んでいることを知り……。御法度である私情の仇討旅に出た若殿一行を待ち受けるのは? 傑作廻国時代活劇!
APPLE BOOKSのレビュー
人情味豊かな若殿が大活躍する仇討ち漫遊記の第1作。信州真田家の若殿が何者かに命を狙われ、調べを進める中で最も信頼していた家臣を殺されてしまう。仇の手掛かりが九州にあることをつかんだ若殿は、禁じられた仇討ちのために江戸をたつ決心をする。頑固な守役、同門の天才剣士、まだ幼い町人の娘と、共に旅をすることになる一行とのつながりを描きながら、跡取り問題、若殿の縁談話など、今後につながる伏線がたっぷりと張られている。1巻のみでも読み応えはあるが、一行の旅がどんなものになるのか、期待と心配で早く続きを読みたくなる。お忍びでありながら持ち前の正義感からつい事件に首を突っ込んでしまう若殿が、行く先々でどんなトラブルに見舞われ、事件を解決していくのか。著者は『父子十手捕物日記』や『口入屋用心棒』など、数々の人気時代小説シリーズを生み出してきた鈴木英治。設定は架空だが、主人公の父の真田幸貫は江戸時代後期に実在した名君。リアルな時代背景を織り交ぜながら、著者らしい軽妙な語り口が爽やかな主人公にぴったりな痛快時代劇となっている。