旅愁
発行者による作品情報
この作品は書いている、横光利一(よこみつりいち、1898年(明治31年)3月17日-1947年(昭和22年)12月30日)は、日本の小説家・俳人・評論家である。この作品は底本の「旅愁下」では「小説・物語」としてまとめられている。
カスタマーレビュー
kasiwa mochi
、
誤解された大作
著者は自ら提唱する「純粋小説論」の中で、文学を救済するには大衆文学と純文学との合体しかないと説いた。また随筆の中でも偉大なものは必ず俗化するというジッドの言葉を用い、自身の長編においてそれを試みた。後年横光に男女関係を題材とした作品が多いのもそのためであろう。そうしてそれはドストエフスキーの影響が大きいと思われる。本作「旅愁」は作者が「上海」以来抱き続けてきた、「民族が民族たる理由と目的」を追求したものだ。と同時に、かつてヨーロッパを訪ね歩いた横光の祖国に対する限りない愛情でもある。