母親からの小包はなぜこんなにダサいのか
-
-
3.9 • 7件の評価
-
-
- ¥800
-
- ¥800
発行者による作品情報
大ヒット『三千円の使いかた』に続く、感動家族小説!
岩井志麻子氏、推薦!
「物に託さなくても、血縁関係はなくても、愛情のバトンは受け取れるし、手渡せる」
野菜、お米、緩衝材代わりの肌着や靴下、ご当地のお菓子など。昭和、平成、令和――時代は変わっても、実家から送られてくる小包の中身は変わらない!?
業者から買った野菜を「実家から」と偽る女性、父が毎年受け取っていた小包の謎、そして母から届いた最後の荷物。家族から届く様々な《想い》を、是非、開封してください。
〈解説〉岩井志麻子
APPLE BOOKSのレビュー
柔らかく穏やかな筆致で、つつましく生きる人々にスポットを当てたベストセラー『三千円の使いかた』の原田ひ香による、離れて暮らす親と子をつなぐ小包にまつわるストーリー。タイトルを目にした瞬間、実家から離れて暮らした経験のある人なら、つい噴き出すだろう。箱ぎっしりに地元の銘菓や野菜が詰め込まれ、隙間という隙間を埋めるように緩衝材代わりの下着やら靴下、もらい物のタオルなどが押し込まれた小包。送ってくれた本人には言えないが、誠に言い得て妙な『母親からの小包はなぜこんなにダサいのか』。六つの短編集は、上京したての大学生の孤独を描き「あるある」と共感させてから、予想外のホームドラマへ変化する。フリーマーケットサイトの野菜詰め合わせボックスを母からの小包だとうそをつく女性の物語では、毒親の仕打ちに今も傷が癒えない子のもがきが浮かび上がる。最終話では、家族の形は変わりゆくもの、素直に受け入れるのもありと伝える。サラリと読みやすいが、行間から染み出る親子間の絆や素直になれない寂しさが心をざわつかせる。余白を残したラストは、原田から読者への小包だ。想像する楽しさをしっかりと受け取ろう。