消滅世界
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発行者による作品情報
人工授精で、子供を産むことが常識となった世界。夫婦間の性行為は「近親相姦」とタブー視され、やがて世界から「セックス」も「家族」も消えていく……日本の未来を予言する芥川賞作家の圧倒的衝撃作。
APPLE BOOKSのレビュー
村田沙耶香の芥川賞受賞作「コンビニ人間」の前年に書かれた、愛と生殖の本質を問いかける衝撃の問題作。人工授精が当たり前となり、生殖行為は交尾と呼ばれ、さげすまれる世界。そんな世界で主人公の坂口雨音は交尾によって産まれる。母から呪いのように"正しい世界"=愛し合った男女がセックスによって子供を産む、という価値観を植えつけられた雨音。交尾が不潔で不必要な行為とされているにもかかわらず、自分の性衝動が母の影響か、それとも自身の純粋な本能かを確かめるため、交尾をやめることができないでいた。やがて結婚した雨音と夫の朔は、恋愛と交尾は家庭に持ち込まず、外で恋人とするという常識に従って暮らしていたが、夫婦で人工授精を行った結果、朔は人類初となる男性での出産に成功し…。性愛、家族、産む性としての役割、そして親子という血の繋がりすら消滅した世界は楽園なのか、それともディストピアか。すべての関係性が失われた世界の姿に、改めて性差、愛、セックス、そして親子のつながりについて考えさせられる。
カスタマーレビュー
万華鏡とチョコレート
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1人で生きていく
出産をし、育休に励む現代の女性が一般的な人間社会で見えるあり方であるが、最近では男性による育休も流行り出している。しかし、実際男性すらも妊娠ができるようになるとどうなるのか。学校の保健の授業でしか習わなかった物理的かつ科学的な性に対する考え方ではなく、倫理的かつ哲学的に考える性のあり方を見るのはとても新鮮で面白かったです。