深淵のテレパス
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4.7 • 23件の評価
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- ¥1,600
発行者による作品情報
「変な怪談を聞きに行きませんか?」会社の部下に誘われた大学のオカルト研究会のイベントでとある怪談を聞いた日を境に、高山カレンの日常は怪現象に蝕まれることとなる。暗闇から響く湿り気のある異音、ドブ川のような異臭、足跡の形をした汚水──あの時聞いた“変な怪談”をなぞるかのような現象に追い詰められたカレンは、藁にもすがる思いで「あしや超常現象調査」の二人組に助けを求めるが・・・・・・選考委員絶賛、創元ホラー長編賞受賞作。
APPLE BOOKSのレビュー
怪現象に巻き込まれていく現実主義者の女性と超常現象を調査する動画配信者を描いたホラー作品。朝宮運河主催の読者投票企画「ベストホラー2024(国内部門)」で1位に選ばれた。30代半ばでPR会社の営業部長を務める高山カレンは、部下に誘われた大学生のオカルト研究会のイベントで怪談話を聞く。そこで女子学生から怪談を“浴びせられ”てから、カレンの日常は怪異に侵食されていく。どこからともなく鳴る「ばしゃり」という異音、開けておいたはずなのに閉まっているカーテン、ドブ川のような臭い。水回りの配管を調べたり、害虫駆除の業者を呼んだりと、現実的な対処法を片っ端から試した挙げ句、切羽詰まったカレンがたどり着いたのは動画投稿サイトで怪現象の調査動画を上げている「あしや超常現象調査」だった。 幽霊を信じず、人間が一番怖いと信じていたはずのカレンが呪いの存在を受け入れざるを得なくなっていく一方で、あしや超常現象調査の面々は、呪いはあるかもしれないけれど実在性が証明できていないというスタンスを崩さず、冷静に怪異をデータとして記録し、時にはオカルトも否定せず解決法を探っていく。すこぶるつきの怖さだけれど、エンターテインメント性も抜群。いい意味で期待を裏切るホラー小説だ。