



源氏物語 本文 全冊
発行者による作品情報
「源氏物語 本文 全冊」
源氏物語は、1000年前の西暦11世紀始め、平安時代に書かれた日本最古の長編小説です。
宮廷女房であり歌人でもあった紫式部(973年頃〜1014年頃)によって書かれました。
主人公の光源氏の、貴族の恋愛や宮廷生活の栄華復活とかげり、その後の物語です。
全54巻(帖)、約100万字、さらに800首近い和歌を詠み込み、王朝物語の典型とされます。
日本を代表する古典文学として、世界中で紹介されています。
全54巻の本文を1冊の電子書籍にしました。
源氏物語の原文を、活字の縦書きで読めます。
ルビや章立てはありますが、訳や注釈はありません。
テキストはすべて、源氏物語の研究者である渋谷栄一先生のホームページ
「源氏物語の世界」http://www.sainet.or.jp/~eshibuya/
で公開されているものです。
新漢字で、章立てし、句読点や会話等、体裁を整えられたのは、すべて渋谷先生によります。
ルビは、同じく渋谷先生のローマ字版から生成して当てました。
心から感謝します。
古文の本といえば、びっしり注釈や訳語が付いてきて、
全部読まないと先に進ませない雰囲気。
かといって、本当に本当の古文は手書きのくずし字で、手も足も出ません。
でも、少しでも自分の目で文章を読んでみたい人のために。
電子書籍なので、ハイライトやメモを共有して、
グループで読むなど、できるかもしれません。
分からない言葉も、今ならすぐにネットで検索できます。
千年も昔からこんな人間ドラマが書かれて、楽しんで読まれて、
今でも日本語として所々分かる気がするのに感激します。
また、第34帖の若菜から、書き振りも和歌の具合も変わって、
さらに宇治10帖の中でも変わってきて、与謝野晶子も喝破した
複数作者説のミステリーを体感できます。
章立てや段落は、渋谷先生の現代語訳とそろえられています。
読解には、ぜひ合わせてご覧下さい。
尚、ルビや本文の誤りには、電子書籍化の際の誤字脱字があります。どうぞお知らせ下さい。
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いづれの御時(おほむとき)にか、女御(にょうご)、更衣(かうい)あまたさぶらひたまひけるなかに、いとやむごとなき際(きは)にはあらぬが、すぐれて時(とき)めきたまふありけり。
はじめより我(われ)はと思(おも)ひ上(あ)がりたまへる御方(おほむかた)がた、めざましきものにおとしめ嫉(そね)みたまふ。同(おな)じほど、それより下臈(げらふ)の更衣(かうい)たちは、ましてやすからず。朝夕(あさゆふ)の宮仕(みやづか)へにつけても、人(ひと)の心(こころ)をのみ動(うご)かし、恨(うら)みを負(お)ふ積(つ)もりにやありけむ、いと篤(あづ)しくなりゆき、もの心細(こころぼそ)げに里(さと)がちなるを、いよいよあかずあはれなるものに思(おも)ほして、人(ひと)のそしりをもえ憚(はばか)らせたまはず、世(よ)のためしにもなりぬべき御(おほむ)もてなしなり。
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*目次*
├(01) 桐壺(きりつぼ)
├(02) 帚木(ははきぎ)
├(03) 空蝉(うつせみ)
├(04) 夕顔(ゆうがお)
├(05) 若紫(わかむらさき)
├(06) 末摘花(すえつむはな)
├(07) 紅葉賀(もみじのが)
├(08) 花宴(はなのえん)
├(09) 葵(あおい)
├(10) 賢木(さかき)
├(11) 花散里(はなちるさと)
├(12) 須磨(すま)
├(13) 明石(あかし)
├(14) 澪標(みおつくし)
├(15) 蓬生(よもぎう)
├(16) 関屋(せきや)
├(17) 絵合(えあわせ)
├(18) 松風(まつかぜ)
├(19) 薄雲(うすぐも)
├(20) 朝顔(あさがお)
├(21) 乙女(おとめ)
├(22) 玉鬘(たまかずら)
├(23) 初音(はつね)
├(24) 胡蝶(こちょう)
├(25) 蛍(ほたる)
├(26) 常夏(とこなつ)
├(27) 篝火(かがりび)
├(28) 野分(のわき)
├(29) 行幸(みゆき)
├(30) 藤袴(ふじばかま)
├(31) 真木柱(まきばしら)
├(32) 梅枝(うめがえ)
├(33) 藤裏葉(ふじのうらば)
├(34) 若菜上(わかなのじょう)
├(35) 若菜下(わかなのげ)
├(36) 柏木(かしわぎ)
├(37) 横笛(よこぶえ)
├(38) 鈴虫(すずむし)
├(39) 夕霧(ゆうぎり)
├(40) 御法(みのり)
├(41) 幻(まぼろし)
├(42) 匂宮(におうみや)
├(43) 紅梅(こうばい)
├(44) 竹河(たけかわ)
├(45) 橋姫(はしひめ)
├(46) 椎本(しいがもと)
├(47) 総角(あげまき)
├(48) 早蕨(さわらび)
├(49) 宿木(やどりぎ)
├(50) 東屋(あずまや)
├(51) 浮舟(うきふね)
├(52) 蜻蛉(かげろう)
├(53) 手習(てならい)
├(54) 夢浮橋(ゆめのうきはし)
├付録
└底本などに関する情報