白洲次郎 占領を背負った男(上)
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4.2 • 10件の評価
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発行者による作品情報
日本でいちばん格好いいといわれている男・白洲次郎。明治35年に兵庫県で生まれ、英国へ留学。戦後、吉田茂の側近として日本国憲法制定の現場に立会い大きく関与した。しかし、彼は表舞台には立たずに、在野精神というダンディズムを貫き通すのであった。初めて知る方にもお勧めの白洲次郎評伝決定版。(講談社文庫)
APPLE BOOKSのレビュー
経営学の書籍も手掛ける著者が、米占領下の日本でGHQと対等に渡り合った昭和の骨太官僚の生涯を描く。近年、宝塚歌劇や映画の題材にもなり再び注目度を増している白洲次郎は、その功績や生き方から賛否両論さまざまな文脈で語られる。戦争に反対し東京の町田市に隠棲しながら、戦後は吉田茂の懐刀として終戦連絡中央事務局に入り、戦後外交の矢面に立つ。イギリス留学で培った英語力とダンディズムで「戦争には負けたけれども奴隷になったわけではない」と、アメリカの高官相手にも言うべきことははっきりと言う物おじしない態度は、現代の日本人にとっても胸のすく存在感だ。ヒロイックなエピソードのみが過大に伝えられてきた側面もあるにせよ、一時期の日本において傑出した人物であったことは間違いない。エッセイスト白洲正子の夫でもあり、家庭人としての姿にも意外性がある。洒脱(しゃだつ)な文体が、白洲の人生をさらにドラマチックに盛り上げ、日本の戦後史を知る上でも、日本にも世界と渡り合える逸材がいたことを知る上でも最適な一冊。