石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの
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3.9 • 16件の評価
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発行者による作品情報
2001年に発覚した外務省機密費流用事件、官邸・外務省を揺るがせたこの事件を掘り起こしたのは名もなき刑事だった。
容疑者は、着服したカネで次々と愛人を作り、競走馬を何頭も所有する外務省の「ノンキャリの星」。地道な裏付け捜査と職人技を駆使した取り調べ、そして容疑者と刑事の間に生まれる不思議な人間関係。
機密費という「国家のタブー」に触れてしまった二課刑事(ニカデカ)たちを待っていたのは――。
人間の息遣いが聞こえるヒューマン・ノンフィクション。
APPLE BOOKSのレビュー
「あれは領収書がいらないカネなんです…。総理の外遊時の経費です」。機密費の存在を世に知らしめた外務省機密費詐欺事件を捜査し、官僚の聖域で10億円近くを着服した男を追う、警視庁捜査二課の刑事たちの知られざる活躍を実名で描いたノンフィクション。2017年にテレビドラマ化。2001年3月10日、元外務省の官僚が詐欺容疑で逮捕された。要人外国訪問支援室長の在任中、総理外遊時の経費を差配できる立場を利用して、5人の総理、計46回の外遊で11億5,700万円を機密費から水増し受領し、9億8,700万円を懐に入れていたのだ。ノンキャリアの星といわれながら、何頭もの競走馬を所有し、3度の離婚の一方で次々と愛人を作る男。対するは、政治家や官僚らの公務員犯罪などを追う警視庁捜査二課。地道な裏付け捜査で口座を調べる情報係と、それを引き継ぐ通称、ナンバーと呼ばれる取り調べのプロ。同じくノンキャリアの彼らが、親の遺産だとうそぶく容疑者に迫り、逮捕から2日後に落とすまでの捜査の過程は、容疑者と刑事に不思議な人間関係が生まれるさまも含めて、極めてリアル。国家のタブーに触れた、石つぶてたる刑事たちの生きる姿が胸を打つ。