能力はどのように遺伝するのか 「生まれつき」と「努力」のあいだ
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発行者による作品情報
能力は遺伝するのか。そもそも「能力」とは何か。そして「遺伝」とは何だろうか。実はわからないことだらけの領域を第一人者が解説!
APPLE BOOKSのレビュー
大谷翔平や藤井聡太のような卓越した能力は、持って生まれたものなのか、それとも努力や環境で得られるのか。行動遺伝学の第一人者である著者が分かりやすく読み解く科学書。行動遺伝学では、人と人の違いを作る要素を遺伝と環境に切り分ける手法を使う。最もポピュラーなのは一卵性と二卵性双生児の類似性を比較する方法。一卵性双生児は遺伝的に同一である一方、二卵性双生児は遺伝子を半分しか共有しない。そこで多数の双生児を調査し、遺伝や家庭などの共有環境と、それ以外の非共有環境の影響を統計的に求める。そうして得られた知見は意外なものも多い。例えば、環境も遺伝する。その人の持つ遺伝的特性から出る行動により、各自が独自の環境を作っていくという。また、人であれば誰でも99.9パーセントの遺伝子が一致し、残りの0.1パーセントが「個人差の源泉」として大きく関わるが、遺伝子の数は多く、一つ一つの効果は小さい。顔を決める遺伝子などはなく、そこには複数の遺伝子が関与する。知能や能力も同じように、ある形質に対し、膨大な遺伝子が全体として影響を与える。こうした行動遺伝学の考え方を通じて、遺伝的な能力を解き明かし、知的好奇心を満たす一冊。