苦海浄土 わが水俣病
-
- ¥610
-
- ¥610
発行者による作品情報
公害という名の恐るべき犯罪、“人間が人間に加えた汚辱”、水俣病。昭和28年一号患者発生来十余年、水俣に育った著者が患者と添寝せんばかりに水俣言葉で、その叫びを、悲しみ怒りを自らの痛みとし書き綴った《わがうちなる水俣病》。凄惨な異相の中に極限状況を超えて光芒を放つ人間の美しさがきらめく。
APPLE BOOKSのレビュー
熊本県天草市で生まれ、その後水俣市で過ごした作家、石牟礼道子の代表作「苦海浄土 わが水俣病」。主題となるのは、かつて何万人もの被害者を出した日本最大級の公害、水俣病。執筆当時、文学好きの主婦だった著者が、現地に住む一生活者としての視点で水俣病患者と触れ合い、その交流の記録を書きつづる。ルポルタージュを書くための観察者という立場を超え、その地に暮らす者だからこそ表現できた被害者たちの感情や町の中のリアルな空気感が臨場感を生み出し、読者の心を揺さぶりながら、深い共感を誘う。熊本の方言を交えた会話には、その土地に根ざした人々の人間性がにじみ出ており、登場人物一人ひとりに生き生きとした命を吹き込んでいる。病気が広がる集落の様子や当時の漁村での暮らしぶりのほか、風評被害で遠洋から仕入れた魚さえも売れなくなり周囲から孤立する漁師や鮮魚店など、病気に加え二重、三重に苦しめられる状況も克明に描写。病気や公害の恐ろしさと併せて描かれる、過酷な状況における漁民たちの力強い生きざまを通じて、人間の尊厳とは何かという問いが胸に迫ってくる。近代社会の問題点を一般市民の視点から指摘し、公害の知られざる側面を明らかにした名著。
カスタマーレビュー
ひろとんナノだ
、
苦海浄土
公害の苦しみを生々しく描いた作品。