陰翳礼讃
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3.8 • 6件の評価
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発行者による作品情報
生活形態が急激に西洋化する中で失われていく「日本の美」を論じた文豪・谷崎潤一郎の随想的評論。1933(昭和8)年から翌年にかけて雑誌『経済往来』に連載された。
西洋文化は部屋の隅々までを明るくして“陰翳”を消すことに執着するのに対して、日本ではむしろ“陰翳”を求め、たとえば障子を通した間接光の鈍い光りや床の間の隅の暗がり、さらにはトイレなどの不浄な場にすら風雅を感じ、その中に美を見出す。さらには、家屋や食器、食事といった日常生活の中だけでなく、“陰翳”の中でこそ映える芸術をも作り上げた。
いまにも忘れ去られようとしている“陰翳”への礼讃と考察を多岐にわたって論じた書であり、その“陰翳の美学”はフランスの哲学者、ミシェル・フーコーにも影響を与えた。
この作品には、昨今では不適切として受け取られる可能性のある表現が含まれますが、当時の時代背景、表現およびオリジナリティを尊重し、そのままの形で作品を公開します。