風が強く吹いている(新潮文庫)
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- ¥1,100
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発行者による作品情報
箱根駅伝を走りたい――そんな灰二の想いが、天才ランナー走と出会って動き出す。「駅伝」って何? 走るってどういうことなんだ? 十人の個性あふれるメンバーが、長距離を走ること(=生きること)に夢中で突き進む。自分の限界に挑戦し、ゴールを目指して襷を繋ぐことで、仲間と繋がっていく……風を感じて、走れ! 「速く」ではなく「強く」――純度100パーセントの疾走青春小説。(解説・最相葉月)
APPLE BOOKSのレビュー
『まほろ駅前』シリーズや『舟を編む』など著作が次々映像化されている人気作家、三浦しをんの『風が強く吹いている』。けがでランナーとしての道を一度は閉ざされたハイジと、才能はありながらも問題児として部を追われたカケルを中心に、決してエリートとはいえない大学の陸上部員たちが箱根駅伝を目指す。熱狂的なクイズ好き、漫画研究会の部員、双子のランナーなど、他メンバーの個性豊かなキャラクターも魅力的。互いに切磋琢磨し、時にはぶつかり合う。彼らの人間味あふれる姿は、読み進めるほどに深い感情移入を誘う。夢をつかむまでの過程、挫折から奮起する不屈の精神、仲間とのつながりなどを、最後まで疾走感と熱気に満ちた文体で描写。欠点や弱さを抱えたチームが成長を遂げ、周囲を見返していく展開は痛快で、青春スポーツ小説の傑作として高く評価されている。