黒い仏
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発行者による作品情報
9世紀の天台僧・円載にまつわる唐の秘宝探しと、1つの指紋も残されていない部屋で発見された身元不明死体。無関係に見える2つの事柄の接点とは? 日本シリーズに沸く福岡、その裏で跋扈する2つの力。複雑怪奇な事件の解を、名探偵・石動戯作(いするぎぎさく)は、導き出せるのか? 賛否両論、前代未聞、超絶技巧の問題作。(講談社文庫)
APPLE BOOKSのレビュー
『ハサミ男』でデビューした殊能将之による、『美濃牛』に続く石動戯作シリーズ第2弾となる規格外の名作ミステリー。13日の金曜日の深夜、名探偵石動戯作(いするぎぎさく)と助手のアントニオは西麻布にあるバイオテクノロジーベンチャー企業の社長、大生部(おおうべ)との面談でとある依頼を受ける。その内容とは、福岡の地方の寺に眠るといわれる9世紀の天台遣唐僧、円載が持ち帰ったという秘宝を探すことだった。一方、福岡では身元不明の被害者が絞殺され、部屋中の指紋が拭き取られるという奇妙な殺人事件が起きていた。石動による宝探しと警察による殺人事件の捜査という、一見関係がなさそうな二つの話が展開し、やがて交差した時、物語は想像もできない方向へと転がりだす。タイトルや装丁からはおどろおどろしい物語を想像させるが、読後感はあくまでも爽快だ。丹念に積み上げていった伏線の先に待ち受けている、想定外の衝撃を楽しみたい。