しゃばけ(新潮文庫)
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- ¥700
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発行者による作品情報
江戸有数の薬種問屋の一粒種・一太郎は、めっぽう体が弱く外出もままならない。ところが目を盗んで出かけた夜に人殺しを目撃。以来、猟奇的殺人事件が続き、一太郎は家族同様の妖怪と解決に乗り出すことに。若だんなの周囲は、なぜか犬神、白沢、鳴家など妖怪だらけなのだ。その矢先、犯人の刃が一太郎を襲う……。愉快で不思議な大江戸人情推理帖。日本ファンタジーノベル大賞優秀賞。(解説・小谷真理)
APPLE BOOKSのレビュー
江戸を舞台に、体は弱いが利発な若だんなと彼を守る不思議で愉快な妖(あやかし)たちが事件を解決する人気シリーズ『しゃばけ』の1作目。有数の豪商である廻船問屋、長崎屋の一人息子、一太郎はある晩、人殺しの現場に居合わせてしまう。彼の窮地を救ったのは他でもなく妖の面々。5歳の時から病弱な一太郎を守るようにと祖父が連れてきた妖の犬神(佐助)と白沢(仁吉)が人間の姿でいつも仕えているだけでなく、妖の姿が見える彼のそばには鳴家や屏風のぞき、鈴彦姫など仲のいい妖たちがたくさんいるのだ。さて、一太郎が事件を目撃してからすぐに、似たような殺傷事件が相次ぐ。気になった一太郎は妖たちと共に不穏な事件の解決に乗り出すのだが…。時代小説にミステリーという抜群の相性に加えて、妖怪を織り交ぜるという奇抜な設定が化学反応を起こし、なんとも摩訶不思議でファンタジックな世界観を作り出している。江戸のにぎわいや風情を感じながら、人情味あふれる妖たちと一太郎の活躍を子供も大人もわくわくしながら楽しめる名作。マンガやテレビドラマ、舞台などメディアミックスもされており、2016年にはシリーズとして吉川英治文庫賞を受賞した。