私たちの世代は
-
- ¥1,800
-
- ¥1,800
発行者による作品情報
『そして、バトンは渡された』『夜明けのすべて』の著者による書下ろし長編
いまを生きる私たちの道標となる物語の誕生!
「明日が怖いものではなく楽しみになったのは、あの日からだよ」
今でもふと思う。あの数年はなんだったのだろうかと。
不自由で息苦しかった毎日。
家で過ごすことが最善だとされていたあの期間。
多くの人から当たり前にあるはずのものを奪っていったであろう時代。
それでも、あの日々が連れてきてくれたもの、
与えてくれたものが確かにあった――。
【著者より】
何かと制限され思いどおりに過ごせない毎日を、大人も子どもも、
誰しもが困難を抱えながら進んできたと思います。
そして、これから、また違う日々に向かわないといけない中で、
ほんの少しでも明るいものを差し出せる物語になれれば。
そう思っています。
明日が怖いものではなく楽しみになったのは、あの日から――
『そして、バトンは渡された』『夜明けのすべて』の著者による書下ろし長編。
APPLE BOOKSのレビュー
『そして、バトンは渡された』などの代表作で知られる瀬尾まいこが描く本作は、不穏な予感が漂う時代に差し込む、一筋の光のような物語だ。当たり前だと思っていたことが次々に覆され、日常の風景が一変したコロナ禍の数年間。あの経験は私たちの社会に、とりわけ子どもたちの未来に大きな影響を与えることになるのではないか。主人公は、コロナ禍に小学3年生だった2人の少女。彼女たちが23歳になるまでの歳月が、過去と未来が交錯しながら描かれていく。パンデミックによって急に世界が閉ざされていく感覚、2人の日々を覆う閉塞感や孤独は、あの時代を生きた私たちにとってあまりにもリアルだ。同時に、それでもより良い明日を信じて一歩ずつ大人になっていく2人の姿は、近未来にほのかな希望を感じさせてくれるものでもある。あの数年間は一体何だったのだろうと、今も社会の自問は続いている。その答えを過去に探すのではなく、これからの私たちの生き方によって証明していくこと。そんなメッセージをはらんだ本作は、アフターコロナを象徴する物語として、後世に語り継がれることになるだろう。