でぃすぺる
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- ¥1,900
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発行者による作品情報
『屍人荘の殺人』の著者が仕掛ける
ジュブナイル×オカルト×本格ミステリ
小学校最後の夏休みが終わった。小学校卒業まであと半年。
ユースケは、自分のオカルト趣味を壁新聞作りに注ぎ込むため、“掲示係”に立候補する。この地味で面倒だと思われている掲示係の人気は低い。これで思う存分怖い話を壁新聞に書ける!……はずだったが、なぜか学級委員長をやると思われたサツキも立候補する。
優等生のサツキが掲示係を選んだ理由は、去年亡くなった従姉のマリ姉にあった。
マリ姉は一年前の奥神祭りの前日、グラウンドの真ん中で死んでいた。現場に凶器はなく、うっすらと積もった雪には第一発見者以外の足跡は残されていなかった。犯人はまだ捕まっていない。
捜査が進展しない中、サツキはマリ姉の遺品のパソコンの中に『奥郷町の七不思議』のファイルを見つける。それは一見地元に伝わる怪談話を集めたもののようだったが、どれも微妙に変更が加えられている。しかも、『七不思議』のはずなのに六つしかない。
マリ姉がわざわざ『七不思議』を残したからには、そこに意味があるはず。
そう思ったサツキは掲示係になり『七不思議』の謎を解こうとする。ユースケはオカルト好きの観点から謎を推理するが、サツキはあくまで現実的にマリ姉の意図を察しようとする。その二人の推理を聞いて、三人目の掲示係であるミナが冷静にジャッジを下す……。
死の謎は『奥郷町の七不思議』に隠されているのか?三人の“掲示係”が挑む小学校生活最後の謎。
こんな小学6年生でありたかった、という思いを掻き立てる傑作推理長編の誕生です。
APPLE BOOKSのレビュー
『屍人荘の殺人』をはじめとする剣崎比留子シリーズで特殊設定ミステリーブームの火付け役となった今村昌弘による、オカルトにジュブナイル要素を加えた濃厚ミステリー。顔も勉強もスポーツもぱっとしない小学6年生のユースケは、夏休み明けの係決めで掲示係に立候補する。その目的は、壁新聞で自分の趣味のオカルト記事を作り、クラスのみんなから一目置かれることだ。ところがそこにクラスの委員長の常連だったサツキ、マイペースな転校生のミナが加わることになる。優等生のサツキが掲示係に加わった理由は、昨年殺されたいとこのマリ姉がパソコンに書き残した「奥郷町の七不思議」をオカルトに興味のあるユースケと一緒に調べるためだった。それは「七不思議」のはずなのに六つしかなく、地元で流布している話よりいやに具体的に書かれていた。優秀なマリ姉はそこに自分の死にまつわる真相を隠したのだと信じているサツキに押されるような形で、3人は怪談話の調査を始める。タイトルの『でぃすぺる』は追い散らす、払いのける、晴らすという意味を持つ言葉。3人と共に怪談の謎を追い、おっかなびっくり読み進めれば、霧が晴れていくような読後感が待ち受けている。