ブルーマリッジ
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4.1 • 10件の評価
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- ¥1,800
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発行者による作品情報
3歳年上の彼女へのプロポーズ。人事部の若手社員として関わったハラスメント疑惑。何の変哲もなかった雨宮守の人生は、26歳で大きく動き出す。恋も仕事も理想は幻想へと変わり、目の前の現実と向き合い始める20代後半――過去からも未来からも逃れることのできない世の中で、光を求めて彷徨う者たちの物語。
APPLE BOOKSのレビュー
2010年代に生きる若者のリアルな青春譚を描いたデビュー作『明け方の若者たち』で注目を集めた著者の、3作目となる長編小説。本作の主人公は2人の男性、年上の彼女にプロポーズしたばかりの雨宮守と、長年連れ添った妻に離婚を切り出された土方剛だ。令和を意識高く生きる今時の青年である守と、昭和の男尊女卑を引きずった中年である剛は、一見して世代も価値観も真逆の男として登場する。しかし、同じ会社に勤める2人はとあるハラスメント疑惑をきっかけに変化していく。物語の前半では、パワハラやモラハラで告発される剛の加害性の生々しい描写が、分かりやすい嫌悪感を抱かせる。しかし本作の本質的なテーマは、一見して無害に見える守もまた、そうした非難から逃れ得ないという事実が徐々に明らかになる、中盤以降に浮き彫りとなっていく。守や剛のように、加害者とは得てして誰かを傷つけていることに気付かないし、傷つけるつもりもないものだ。本作で描かれるそんな“無自覚の罪”は、年齢やジェンダーを超えて、読者一人一人に良心のセルフチェックを促す契機となるかもしれない。