家族
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5.0 • 2件の評価
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- ¥1,900
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発行者による作品情報
「家族って、なんだと思います?」
「現実の世界では、すんなり完全犯罪を
達成できてしまうこともあるんだって学んだんです」
2011年11月3日、裸の女性が交番に駆け込み、「事件」が発覚した。奥平美乃(おくだいら・みの)と名乗るその女性は、半年と少し前、「妹夫婦がおかしな女にお金をとられている」と交番に相談に来ていたが、「民事不介入」を理由に事件化を断られていた。
奥平美乃の保護を契機として、表に出た「死」「死」「死」……彼女を監禁していた「おかしな女」こと夜戸瑠璃子(やべ・るりこ)は、自らのまわりに疑似家族を作り出し、その中で「躾け」と称して監禁、暴行を主導。何十年も警察に尻尾をつかまれることなく、結果的に十三人もの変死に関わっていた。
出会ってはならない女と出会い、運命の糸に絡めとられて命を落としていく人々。瑠璃子にとって「家族」とはなんだったのか。そして、「愛」とは。
「民事不介入」に潜む欠陥を日本中に突きつけた「尼崎連続変死事件」をモチーフとした、戦慄のクライムエンターテイメント!
APPLE BOOKSのレビュー
介護現場での殺人を扱った『ロスト・ケア』など、社会派ミステリー作家として定評のある葉真中顕が、2011年に発覚して日本中を震撼(しんかん)させた尼崎連続変死事件をモチーフに描いた戦慄(せんりつ)の犯罪小説。第174回直木賞候補作。2011年11月3日の早朝、全裸であざだらけの女性が交番に助けを求めた。「私は暴力を振るわれ、自分もまた母親を殺してしまった、あいつらと私を逮捕してください」と。これをきっかけに、地元でピンクババアと呼ばれる女、夜戸瑠璃子の“家族”の実態と13人に及ぶ不審死が明らかになる。もともと縁もゆかりもない複数の家族を取り込み、“躾(しつ)け”と称する暴力と恐怖で支配し、財産を奪うばかりか家族同士で殺し合うように仕向ける。事件が発覚した時間を起点に、時系列もばらばらに“事件発覚の◯年と◯日前”として、複雑な人間関係や出来事、民事不介入を盾に捜査を拒んだ警察の失態などを断片的に描きながら、悲劇が連鎖していく大胆な構成には舌を巻く。フランス語で“家族”の意味を持つ分譲マンション“ラ・ファミーユ”を舞台に描かれる壮絶な現場に、いや応なしに立ち会わされる読者もまた“家族”の一員とならざるを得ない、恐ろしい小説。