どんぐりの家(1)
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- ¥760
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発行者による作品情報
田崎夫婦に圭子という女の子が誕生した。しかし発育が悪く、言葉らしい言葉を喋らない圭子に不安を抱いた母親は、2歳3か月になった圭子を医者に連れていくことにする。そこで圭子には知的障害と聴覚障害があると診断され……(第1話)。▼4歳になった圭子は、両親と共にろう学校の幼稚部に通い始める。同じクラスに清という少年がいたのだが、ある日ぱったりと登校しなくなってしまった。そして一週間後、再び幼稚部に現れた清と母親は……(第2話)。▼自分でスプーンを使って食事ができるようになった圭子。一方、清の家では、清を施設にいれようという話が持ち上がる。しかし夕焼けを見ようとしている清を見た母親は、もっと清と話をしてみたいという気持ちになる。その夜、家族で話し合い、清を施設には入れないと宣言する(第3話)。
APPLE BOOKSのレビュー
埼玉県に実在する、ろう重複障がいのある人々が通う共同作業所“ふれあいの里どんぐり”。その設立に関わった家族やろう学校の先生たちの手記からヒントを得て、障がいのある子どもたちとその家族、そして彼らを取り巻く人々を描いた『どんぐりの家』。1997年に劇場版アニメ化もされた作品だ。2歳になった娘、圭子が周りと違うことに気付き、両親が病院に連れていった日から日常が激変する。圭子には聴覚障がいがあり言葉が話せないこと、そして知的障がいもあるため4歳程度までしか知能が成長しないことを医者に診断され、その現実を受け入れるまでの想像を絶する日々が描かれる。親の苦しみも、子ども自身が理解されない苦しみも生々しく心に刺さる。生きていて良かった、生まれてきてくれて良かった、共に生きていこうと、家族の心に光が差し込む時、涙が止まらない。社会福祉について、真剣に考えるきっかけとなる一冊。