それは令和のことでした、
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発行者による作品情報
著者の企みに舌を巻く! 哀しみと可笑しみの令和ミステリー
小学生のときは女男と指をさされ、母親からはあなたの代わりは誰にもつとまらない、胸を張れと言われる。
平穏を求めて入学資格に性別条項のない私立の中高一貫校に入るが、いじめはさらにエスカレートし、みじめな姿がSNSで世界中にさらされていく。
それは僕の名前が太郎だから――(「彼の名は」)
APPLE BOOKSのレビュー
2004年の名だたるミステリー賞を総なめにした『葉桜の季節に君を想うということ』で一躍その名を知られるようになった歌野晶午による短編集。変わり者の母から“太郎”という名前を付けられたがために、いじめに遭う少年を巡る「彼の名は」。青年が位置情報ゲームをきっかけに、偶然知り合った認知障がいのある女性の殺人事件に巻き込まれてしまう「君は認知障害で」。結婚して家庭を持ちながらも未だ毒母に抑圧される娘を描いた「死にゆく母にできること」。家事と娘の介護のストレスから、タバコに依存する女性の物語「彼女の煙が晴れるとき」など7編とショートショート1編を収録。そこに描かれているのは、七者七様に追い詰められた人々の悲喜劇だ。読み終えた瞬間に驚き、すぐさま読み返したくなるような、トリッキーな仕掛けと緻密な構成は今作も健在。タネと仕掛けにあふれた、歌野ワールドへようこそ。