



つまをめとらば
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3.7 • 15件の評価
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- ¥700
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発行者による作品情報
第154回(2016年)直木三十五賞
女という圧倒的リアル!直木賞受賞作
去った女、逝った妻……瞼に浮かぶ、獰猛なまでに美しい女たちの面影はいまなお男を惑わせる。
江戸の町に乱れ咲く、男と女の性と業。
女が映し出す男の無様、そして、真価――。
太平の世に行き場を失い、人生に惑う武家の男たち。
身ひとつで生きる女ならば、答えを知っていようか――。
時代小説の新旗手が贈る傑作武家小説集。
男の心に巣食う弱さを包み込む、滋味あふれる物語、六篇を収録。
選考会時に圧倒的支持で直木賞受賞。遂に文庫化!
解説・瀧井朝世
APPLE BOOKSのレビュー
第154回(2015年下半期)直木賞受賞 - 武家の男女にまつわる性と業を描いた話題作。人もうらやむ美女を妻に迎えた縁戚が起こした痴情沙汰に巻き込まれ、家禄を返上し町人となった男を描いた「ひともうらやむ」。本作中では唯一となる女性からの視点で、子を持ったばかりの母の揺れ動く心情を描いた「乳付(ちつけ)」。俳諧師の顔を持つ武家の男と外仕事でその日暮らしの生活をする女とのつかの間の巡り合いを描いた「つゆかせぎ」。過去に借りがある幼なじみの老いらくの恋を知り、心が揺れる初老の男を描いた「つまをめとらば」など、全6篇を収録。戦国時代が終わり、太平の世に行き場をなくした下級武士たちの悲哀が、したたかに生きる女たちの存在で浮き彫りにされている。「妻をめとらば才たけて みめ美わしく情けある」と明治の歌人、与謝野鉄幹が歌ったように、賢くて美しく、かつ優しい女性を妻にと男が願うのはいつの時代も同じこと。そしてそんな思惑は承知の上で、圧倒的に男性上位だった封建時代にあっても、抜け目なく立ち回り、男を惑わさずにはいられない女たち。女の強さは、いつの世にも変わらないのだと実感する。